親子登山の様子を、愛らしいイラストで綴る人気インスタグラマーのヤマガスキナダケさんの連載「今日もコドモと山にいます」。編集部に寄せられる親子登山や子育ての質問に、ヤマガスキナダケさんがお答えします。今回の質問は、これから親子登山を始めたい!と思っているお父さん・お母さん必読の「親子登山で登る山の選び方」。どうせなら、家族の体力や好みにあった、心から楽しめる山を選びたいものです。さてさて、ヤマガスキナダケさんはどうやって決めているのでしょうか?
今日もコドモと山にいます|親子登山のあれこれをヤマガスキナダケさんが指南! #03/連載一覧はこちら
2020.07.11
ヤマガスキナダケ
会社員イラストレーター
事前に現地調査するようになったきっかけは、近所の山を夫婦で登っている時に、息子をここに連れて来たいなと思ったことが始まりでした。
当時5歳の息子が登るとなると大人の登山とは勝手が違うだろうと、後日何度か単独で足を運んで子供でも登れるようなルートを探したんです。
当時はYAMAPのような便利なアプリもなかったし、地図もないようなマイナーな山だったので、自ら歩いた情報を元に自分で地図を作ったりもしました。この現地調査の甲斐もあって初めての親子登山が成功したのだと思ってます。
現地調査した後に当日をイメージしながらマップを作ってました。その製作過程も含めていい思い出になってます
私自身は、子供の頃の登山に結構辛い思い出もあるので、息子には「登山って楽しい」と思って欲しかった。そのため、子供のストレスになるものは極力排除しておきたかったのです。
この時、安全で楽なルート探すだけじゃなく、子供を飽きさせないポイントを色々と見つけておいたのも、初めての親子登山を成功に導いた重要なキモだったと思います。
これも山頂だけを目的にして連れて行かれた子供時代の辛い思い出から来ているのだと思います(笑)。
自作マップが役に立つというより実際に歩いて下調べをしたことが初の親子登山の成功につながったと思います
親子登山をしばらくしていると、家族それぞれの苦手なものや好きなものが分かってくるので、それも次の山選びの参考にしていました。
目の前を飛ぶ虫が苦手な息子にとってサングラスは欠かせないものになりました。笑
しかし、慣れとは怖いもので、もともと「安全」を目的に考えていた山選びがいつしか「好きなもの」を優先に考えるようになり、イラストのようなことにつながったのです。
ルート中にお気に入りのポイントを入れておくと自然と笑顔が生まれます
そんな経験を経て、我が家が親子登山で特に気を付けていたのは「時間」。何が足を止めることになるかわからない親子登山では、コースタイムは休憩時間も含め想定の「倍+α」で丁度いいくらいです。
まだ眠たい子供を無理に連れ出しても登山を楽しめるはずがないので、登山当日は出発時間にすら1時間くらいの余裕を考えて山選びをしていました。
大人もまた、時間に追われて子供を急かすようになっては、誰も楽しめなくなります。これは我が家も実際に経験したことで、そんな日は笑顔の写真も自然と少なくなるのです。
その結果、低山はもちろん、家から近い山を選び、昼休憩も特にポイントを決めず、登頂にすら特にこだわらない今の登山スタイルになったのだと思います。
予定のプランを変更し途中でのんびりして帰ることもしばしば。この時は登山口から15分の場所で登山終了(笑)
事前の現地調査をしなければ、山の絶景を家族全員が初めて目にする感動もあるかもしれません。それも悪い話ではないですが、やはり安全には変えられません。特に初めての親子登山は無事に登山を終えられることを一番に考えて事前に大人だけで歩いておくことをお勧めします。
仮に地図や情報が十分にあるようなメジャーな山だとしても、やはり一度登っておくと道迷いの確率が減るだけじゃなく、気持ちや時間にも余裕が生まれ、道迷いやタイムオーバーなど不測の事態への対応にも差が出ると思います。一度歩いたことがあるのとないのとでは、登山中の緊張感や安心感も圧倒的に違いますよ。
緊張感は子供に伝わり、不安や焦りが生まれ、トラブルの元になりかねません。逆に安心感は最高の笑顔を生みますよ!
私の下調べ不足が招いた『Jヶ峰』の急坂。登山で初めて弱音を吐いた息子の荷物は私が持って声をかけてます。笑
親子登山をあれこれ想像して登る山も楽しいものです。
ここなら登れそうだとか、この道は感動するだろうなとか、ここでお昼をとってこのルートで下山しようかなんて一人でニヤニヤしながら(笑)。
私の場合、これがソロで登る時の山の楽しみ方に繋がっていきました。
リサーチなんてもっともらしいことを言っていますが、初登山のルート探索やマップ作りもただの自分の楽しみでしかないのです(笑)。
ヤマビル調査を名目に友人を巻き込んで、休みの度に出かけていた時期もありました。
どう見ても楽しんでるようにしか見えないヤマビル調査隊
ソロの時も奥さんや友人と登る時も、常に親子登山が頭にあったと思います。そのために必要な情報や装備の安全性は必要以上に考えていました。
登山を始めてから今まで大きな怪我やアクシデントがなく楽しんでこれたのも、背景には親子登山を考えて行動していたからかもしれません。
結局のところ子供のためというより、親子登山を含めた山遊びを長く楽しみたい自分のためにも重要なことだったと思います。
我が家のこのJヶ峰の教訓を皆さんの初親子登山の成功に活かしてもらいたい
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