一人で山に登っても、美味しい山ごはんが食べたい! それなら、調理器具を必要最低限に減らしたワンクッカー調理がおススメです。今回は、数あるクッカーの中から、どれかひとつを持っていくならコレ!というクッカーを、登山ガイドのヤッホー‼さんとアウトドア料理研究家のshihoさんが、それぞれの目線でチョイス。ワンクッカーで簡単に作れる美味しい2品「もっちもち♪うどんナポリタン」「シエラカップで卵スープパスタ」のレシピもご紹介します。
ヤッホー‼さん&shihoの山ごはんを始めよう #09/連載一覧はこちら
2021.04.28
ヤッホー‼さん&shiho
管理栄養士・山の料理研究家
shiho:今回のテーマはコッヘル選び。ソロ山行で、ひとつのクッカー(コッヘル)を使って山ごはんを作るなら、何を選べばいいと思う?
ヤッホー!!さん:大きさ、軽さ、スタッキングのしやすさ、調理のしやすさ、などが一般的な選択基準だろうけど、他にも、道具としての遊び心があったり、SNS映えしたりということも考えれば、どんどん選択肢が広がってくるから困ったもんだなぁ。
shiho:ひとことで調理といっても、お湯を沸かしたいのか、煮物をしたいのか、炒め物をしたいのかでもクッカーは違ってくるよね。家庭ではケトル、鍋、フライパンといった具合に使い分けしているんだから、本当は、いろんなクッカーを手に入れて、使い分けするのが理想かな。
ヤッホー!!さん:まぁでも、今回は“ワンクッカーしばり”だからね(笑)。普段使っているクッカーの中で、一個しか使っちゃいけないとしたらどれを選ぶかを、それぞれ考えてみようよ。
shiho:そうなると、いろんな料理を作れるといった汎用性が大切だね。ケトルとかホットサンドメーカーは、残念ながら除外だね。
ヤッホー!!さん:ソロ山行に向かない大型のものや、複数のクッカーがセットになっているものも一旦除外ということで。
shiho:私は何といってもフライパンがいい! もちろん蓋もセットにしてね。普段使っているクッカーの中では「山フライパン17cm+山リッドSUS」(UNIFLAME)だな~。
ヤッホー!!さん: え?いきなり蓋が別売りのもの(笑)? でも、これは本当に使い勝手がいいよね。蓋に重さがあってガタつきがない。フライパンだけど、これなら本当に美味しいごはんだって炊けるよ。
shiho:そう!フライパンは蓋があるだけで料理の幅がぐっと広がるんだよ~。はじめから蓋もセットで販売していればいいのにね。フライパンの表面はフッ素加工されているから、こびりつきも少ないのも魅力。サッと拭けばある程度きれいになるから、山で洗う必要なく複数の料理が作れるよ。
ヤッホー!!さん:フッ素加工のものは何年も使っていると、だんだんコーティングが落ちてしまうので、一生モノの道具とはいえないし、正直、スタッキング性も良いわけではないけど、それを補って余りあるだけの「調理のしやすさ」があるね。純粋に料理が好きっていう人には一番合っているクッカーだと思うよ。
ヤッホー!!さん: 僕は四角い鍋タイプが好きだなぁ。アルミ製でもハードアノダイズド加工されていれば、強度があって耐久性も高いし、ガスストーブやOD缶などを収納することもできる。スタッキングのしやすさが魅力だよ。
shiho:鍋料理やインスタント麺を作るのに最適な深さだし、深すぎないから、炒め物もできるよね。ただ、フッ素加工されていないものが多いから、フライパンに比べるとこびりつきやすいかなぁ…。
ヤッホー!!さん:普段使っているのはアルパインクッカースクエア13(mont-bell)。僕は山で炊飯することが多いので、この鍋みたいに蓋が内側に収まるタイプのほうが、吹きこぼれなくて使いやすいよ。
shiho:女性のソロ登山には少し大きすぎる気もするけど、ガッツリ食べたい派の人にはおススメかもしれないね。
shiho:SNS映えで考えたら、やっぱりメスティンだよね~。キャンパーさん御用達っていうイメージが強いけど、最近は山に持っていく人も多いよね。
ヤッホー!!さん:蓋にまで熱が伝わるから、加熱中の内部温度が安定しやすいといった優れた特徴を持つクッカーなのは間違いないけど…、蓋が開けづらい、フッ素加工されていないのでこびりつきやすい、ハードアノダイズド加工されていないので変形しやすく金属臭が強いなど、欠点も多いんだよ。それにもかかわらずこれだけ魅力的なのは、道具として「遊び心」を刺激するところにあるんだと思う。
shiho:クッキングシートを使ってこびりつかないようにする「メスティン折り」とか、フッ素加工のカスタマイズとか、みんな工夫することを楽しんでいるもんね~。
ヤッホー!!さん:結局、作る・食べる以外の意味でも山ごはんを楽しみたい!っていう人に一番マッチしたクッカーなのかもしれないね。
ヤッホー!!さん:たとえ荷物が重くなっても「ガッツリ食べたい派」の僕はUL(ウルトラライト:軽装備)にはあまり興味はないんだけど、少しでも装備を軽くしたいという人にはシエラカップを使うというのもありだと思うよ。
shiho:そもそも、そんな体格でULを主張したら、みんなから笑われちゃうよ~(笑)。でも、食の細い人ならシエラカップでも充分だろうね。工夫次第でいろいろな料理もできるんじゃないかな~。
ヤッホー!!さん:熱伝導を考えればアルミ製のほうがムラなく加熱できるから調理には向いているだろうけど、薄く軽く加工できるチタン製のほうがULに向いていると思う。
shiho:そうだね。他にもシエラカップは食器としての役割もするから、直接口をつけても金属臭が気にならないチタン製のほうが、山ごはんが美味しく感じられると思うよ。ただし、火加減を間違えるとすぐに焦げ付くから、調理中に気を抜かないようにしなきゃね。
shiho:本来はスパゲッティで作るナポリタンですが、冷凍うどんを使うことで、短時間でもちもちの仕上がりになります! 美味しく作るポイントも最後にご紹介しますね。
*材料(1人分)
・冷凍うどん:1玉
・ウインナー:2個
・ピーマン:1個
・玉ねぎ:1/8個
・バター:10g
・ケチャップ:大さじ3
・中濃ソース:大さじ1/2
・ポーションミルク:2個
・粉チーズ:適量
・水:大さじ2
・塩・こしょう:適量
*つくり方
【下準備】
・ウインナーは斜め切りに、玉ねぎ・ピーマンは薄切りにする
・冷凍うどんは持ち運びの間に解凍しておく
【1】フライパンにバターを入れ、中火にかけたらウインナー・ピーマン・玉ねぎを軽く炒め、具材を端に寄せたらケチャップ・中濃ソースを入れて混ぜながら1分くらい煮詰める
【2】水を加えて混ぜ、冷凍うどんを置いたら、蓋をして1~2分加熱し蓋を取り、全体が馴染むように混ぜ合わせる
【3】塩・こしょうで味を調え、火を止めてポーションミルクを入れて混ぜ、皿に盛り付けて粉チーズを振る
ヤッホー!!さん:これは試作の時に子供たちに大好評だったレシピだね!! 普段トマト系のパスタは食べないのに食いつきが違ったよね⁈秘密は何かな?
shiho:ケチャップって人によっては酸味がきつく感じることがあると思うんだけど、麺に絡める前に少し煮詰めることで、酸味の角が取れてマイルドな旨味が残るんだ。もう一つ、買ってしまってもなかなか使いきれないポーションミルク(コーヒーミルク)を仕上げに加えることで、コクが出て美味しくなるので、ぜひお試しください。
ヤッホー!!さん:そのアイデア、うどんだけじゃなくご飯バージョンでもいけそう!!
炊き込みご飯にも応用してみたいね!
shiho: お次はシエラカップで作れるクイックレシピをご紹介します。
卵入りのスープパスタで5分くらいあればささっと作れるので、山ごはん初心者におすすめです。あっさりコンソメ味のスープにふわふわ卵とパスタで小腹を満たすにはちょうど良いスープパスタです。
*材料(1人分)
・オニオンコンソメ:1袋
・水:170ml
・卵:1個
・粉チーズ:大さじ1
・早ゆでショートパスタ:15g
・オレガノ:少々
・塩・こしょう:少々
*つくり方
【下準備】
・卵を溶き、粉チーズと合わせておく
【1】シエラカップに水を入れ、火にかけて沸騰したら早ゆでショートパスタを加えて規定時間通り加熱する
【2】オニオンコンソメを加えて混ぜたら、溶き卵を流しいれ、塩・こしょうで味を調え、オレガノを振る
ヤッホー!!さん:これは簡単でいいね!大食いの僕はこれだけじゃお腹いっぱいにはならないけど、女性ならこれにサンドイッチやおにぎりがあればちゃんとした山ごはんになりそうだね!
shiho:食欲があまりないけれど、何か口にしたいときや泊まりの山行中の朝食にも良いかもしれないね。
今回はソロ登山&ワンクッカーを使ったレシピを紹介しました。次回は、友人・家族と行く2人登山&クッカーセットを使ったレシピを紹介したいと思います。
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