缶詰と共に暮らし、缶詰を心から愛し、来世では缶詰になりたいとさえ願う、穢れなき缶詰愛を貫き通す永遠の少年。「缶詰博士」こと黒川勇人氏が手がける「超絶美味な山ごはん! 缶詰博士が教える珠玉の缶たんレシピ講座」。今回ご紹介するのは「缶バーグ」。あの魅惑のメニューがなんと山でも堪能できるのです! 雄大な自然の中で味わう松坂牛の旨みと溢れ出す肉汁のハーモニーはきっとあなたを虜にするはず。全世界の登山者の皆さん! お待たせしました。これさえあれば、私たちは無敵です。
超絶美味な山ごはん! 缶詰博士が教える珠玉の缶たんレシピ講座 #02/連載一覧はこちら
2021.05.19
黒川 勇人
缶詰博士
どうも缶にちは!アルコールストーブの火力を侮ってパンを黒焦げにした缶詰博士・黒川勇人です。
今回ご紹介する絶品缶詰は「缶バーグ」。うすうす気付いていると思いますが、缶に入ったハンバーグだから“缶”バーグ。ダジャレのネーミング、大好きです。
でもでも、中身はすごい。原料の挽肉と玉ねぎは国産限定で、挽肉の36%にA5ランク松阪牛を使用。食感はあくまで肉々しく(粗挽きだから)、温めてカットすると肉汁がシズるという(脂が乗った松阪牛だから)、本格的なハンバーグなのであります。
味付けは「デミグラスソース味」と「和風ソース味」の2種類あり。それぞれ160g入り(固形量80g)で、各1缶ずつの2缶セットで1,944円(税込)。
缶バーグデミグラスソース味を使った「肉汁たっぷり缶バーガー」
登山をしていて、ふと欲しくなるのは下界の味。ソフトクリームとか、鶏の唐揚げとか、山中ではなかなか食べられないものが逆に欲しくなる。
肉汁したたるハンバーガーもその例で、これまでは「下界に戻るまで我慢するべし」と思っていたけど、缶バーグさえあれば山中でも食べられる。
「肉汁たっぷり缶バーガー」の食材一覧。ベビーリーフ1袋分と缶バーグデミグラスソース味、パン(マフィン)の3点。パンはハンバーガー用のバンズにしたかったけど、手に入らなかったのでマフィンで代用することにした。
なお、ベビーリーフは要冷蔵なので、保冷剤とともに保冷バッグに入れて持参し、山行初日に使い切るのがオススメであります。
まずは缶バーグを湯せんで温める。クッカーに缶バーグを入れ(缶はきれいに拭いておく)、缶が浸るくらいの水を注いでから火に掛ける。湯が沸騰したら火を止めて(ここ大事!)5分放置すればOK。缶は熱伝導率が高いので、沸騰後の湯の余熱で十分温まる。
なお、湯はこの後スープや味噌汁に使ってもいいし、冷めたら水として飲めば無駄にならない(煮沸消毒済みで安心)。
熱湯に浸けた缶詰が温まるのを待つ間に、マフィンを半分に割ってバーナーで焼いておく。写真に写っているユニフレーム製のミニロースターは、下の細かいメッシュ(バーナーパッド)が炎を熱に変換する優れもの。炎が食材に当たらないから、焦げる心配が少ないのだ。
これが湯せん終了後の缶バーグデミグラスソース味。低温下では固まっているはずの濃厚ソースが温まり、とろとろの作りたて状態に戻っている。そこから漂う洋食店風の濃厚な匂い。テント場でご一緒したみなさん、飯テロ本当にすみませんでした!
焼けたマフィンにベビーリーフを広げ、缶バーグを乗せ、もう1枚のマフィンで挟めば缶成!
これくらい大口を開けないと食べられないほど、缶バーグは厚みがある。噛むと肉汁がじゅわっとあふれ、デミグラスソースと絡み合って「キャッキャうふふ」と大騒ぎ。肉汁が口外にもあふれそうなので、上品に紙ナプキンを使っております。
なお缶に残ったデミグラスソースは、残ったベビーリーフを浸したり、残ったマフィンを浸けたりして、残さずいただきました。
缶バーグ和風ソース味を使った「速攻クスクス缶バーグ丼」
さて、先ほどとは別の日に、別の山域にやって参りました。ここで作るのは、クスクスに缶バーグ和風ソース味を汁ごとかけて作る「速攻クスクス缶バーグ丼」であります。
「速攻クスクス缶バーグ丼」の食材一覧。左から、ゆで卵1コ(食品ラップに巻いてある)、フリーズドライのほうれん草(ナルゲンの広口丸形ボトル30mlに約半分)、クスクスを戻すための水120ml、缶バーグ和風ソース味、クスクス100g(シェラカップに約半分)。
先ほどの缶バーガーと同じく、調味料を一切使わないから楽チンだ。
ゆで卵は半分に切っておき、クッカーで湯120mlを沸かす。
沸いた湯を20mlほどシェラカップに注ぎ、フリーズドライのほうれん草を戻しておく。クッカーに残った湯(約100ml)にクスクスを投入し、ざっとかき混ぜる。湯の分量は厳密でなくても大丈夫ですぞー。
さあ、こちらが缶バーグ和風ソース味を開けたところ。常温なので脂が固まってフチに付いてるけど(気温8℃)、その白さに着目いただきたい。良質な肉から出た脂だから、濁りのないきれいな白さなのだ。ああもう、この脂を見ただけでヨダレが出てくる。このまま食べてしまいたい!
湯をかけたクスクスに缶バーグを汁ごとOn。半切りにしたゆで卵、戻したほうれん草もOn。すぐにフタをして…。
3分待つべし。クスクスにかけた熱湯の熱で、缶バーグとゆで卵まで温めちゃう作戦であります。缶詰を湯せんする手間もナッシング。
ちなみにここは八ヶ岳山麓の、杣添川ルートにほど近い場所。あまりのいい匂いに腹がぐうぐう鳴っているけど、周囲に誰もいないのがすごく嬉しい。
かくのごとし。「速攻クスクスハンバーグ丼」の缶成であります。
砂糖しょう油に玉ねぎの甘みを加えた和風ソースは、甘みがありながらすっきりしていて、ハンバーグ本来の味がよく分かる。ハンバーグそのものを味わいたいなら和風ソース味がオススメ。
缶汁を含んだクスクス、うまっ。クスクスはパスタと同じデュラムセモリナ粉で出来てるから食べ応えがあるし、細かい粒状なので白ごはんのようにわっしわっし食べられる。茹でて作るパスタと違い、燃料と水を節約できるから山ごはんに向いている食材なのだ。
今回紹介した缶バーグは、銀座にある老舗牛肉料理店「吉澤」が販売している。「災害時にこそ美味しいお肉を食べて元気になって欲しい」という思いで開発されているから、本来は防災備蓄品ということになるだろう。賞味期間も3年あるのだ。
でも抜群に美味しいので、贅沢山ごはんとしてどんどん活用したい。ちょいと高価だけど、それだけの価値はありますぞー!
吉澤「缶バーグデミグラスソース味」「缶バーグ和風ソース味」各160g(固形量80g)/各1缶ずつ2缶セットで1,944円(税込)
同社直販サイトなどで購入
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