「佐渡の山旅」の第二弾は、佐渡の自然と観光を味わい尽くすプランをご紹介。初日は昼過ぎにドンデン高原へ到着し、高原一周コースをゆったりお散歩しながら野草の観察を。ドンデン高原ロッジから眺める満天の星々は、山中に泊まってこそ味わえる佐渡の自然です。2日目は佐渡島の玄関口・両津港周辺を散策。帰りの船便まで時間がたっぷりあるので、すてきなカフェや観光地を巡って佐渡の観光を満喫しましょう。
*「佐渡の山旅」の最初の記事は、こちら
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2022.08.25
池田 菜津美
ライター
新潟県の沖合に浮かぶ佐渡島。新潟市からは西へ45km離れたところにありますが、これは東京都心から高尾山くらいの距離。新潟港からジェットフォイル(高速線)を使えば約1時間で着いてしまうので、島へ着いた初日から佐渡の山旅を楽しめちゃう距離なんです。カーフェリーでも2時間半ほどなので、船に車を持ち込んでマイカーを使った島巡りもおすすめです。
今回ご紹介する登山プランは、佐渡登山の拠点、ドンデン高原に宿泊してのんびり周辺を散策するもの。かつては放牧地に利用されていた場所で、高原一帯はドンデン山とも呼ばれています。「鈍嶺(どんでん)」という名の由来の通り、穏やかな山容はハイキングにぴったりの場所で、親子登山にもおすすめです。見どころは大展望と野草。ドンデン高原ロッジから望む両津湾や、ロッジからすぐの尻立山から見渡す佐渡の山々など、展望スポットがたくさんあります。樹林や草原ではシラネアオイやオオイワカガミなどさまざまな野草が見られ、散策も楽しいエリアなんです。
ドンデン高原で佐渡の自然を楽しんだら、翌日は佐渡の玄関口・両津港周辺でのんびり散策を。2日目は時間がたっぷりあるので、トキの森公園をぶらぶらしたり、両津港周辺の飲食店で佐渡のグルメを堪能したり、佐渡の観光を思う存分楽しめますよ!
前回の記事に引き続き、今回も佐渡の山旅プランを体験してくれたのは、北海道在住の野草愛好家KUSACOさん。「北海道のすべての草花に出会うこと!」という夢を叶えるべく北海道各地を歩き回り、SNSなどでその美しさやおもしろさを発信しています。「ドンデン高原は野草の宝庫と聞いたのでとっても楽しみ。また、両津港周辺の観光地を巡れるのも嬉しいです」とのこと。いざ、佐渡の山旅に出発です!
両津港からまず向かったのは徒歩5分のところにある「おにCafe」。カウンター席の脇にある大きな黒板には変わったメニューがずらりと並んでいます。目にとまったのは『おにきん』という聞き慣れないメニュー。
「『おにきん』は佐渡のバターや小麦粉を使った大判焼き。鬼の顔の絵柄になっているんですよ。佐渡の伝統芸能・鬼太鼓が好きすぎて、ついに食べ物にしちゃった」と店主の井上ゆかりさんが笑っています。パクリと一口いただくと、ふんわりとやさしい香り。「香りのひみつはクルマバソウ。乾燥させた葉を牛乳に漬けて、香りを移してるんです」。これにはKUSACOさんもびっくり。「これが乾燥させた葉ですか。桜もち? いや、杏仁豆腐に似てるかも。さわやかな香りですね」。
KUSACOさんが野草好きと知って、井上さんが持ってきてくれたのは、乾燥させた木の枝や葉っぱ。「これは佐渡の里山で採れたクロモジ。くろもじ番茶や、くろもんじゃコーヒーなど、うちのメニューにはクロモジを結構使っているんです。すっきりした香りでしょう?」柑橘系のさわやかな香りをもつクロモジ、かつては漁師が魚のにおい消しとして使っていたのだそう。
「いい香り〜! オオバクロモジですね、山の中で出会えるといいなぁ〜」とわくわくしているようすのKUSACOさん。「野草に詳しい方に相談しながら、身近にあって、どこでも採れるものを使っていこうと思って。そのへんに生えてる普通の野草でも、香りがよかったりきれいな色が出たりして、スパイス的に使えるものが意外とあっておもしろいんです」。どこか懐かしい香りや風味だけど、ここでしか出会えない新しい味になっている。それが「おにCafe」の味の魅力なのかも。みなさんもぜひ一度お試しあれ。
今回は佐渡の自然をじっくり味わうべく、ドンデン高原周辺の散策を計画しました。その拠点となるのは「ドンデン高原ロッジ」。佐渡の最高峰・金北山までの縦走をしたり、シラネアオイで有名なアオネバ登山道を歩いたりする際、多くのハイカーや登山者が拠点としている場所です。花盛りの4月下旬から5月下旬には『ドンデンライナー』という登山者向けのバス便があり、両津港からアオネバ登山口やドンデン高原ロッジへ直行することができます。
「おにCafe」からドンデン高原へと移動し、早速、佐渡の野草を求めて散策をスタート。取材日は5月の下旬。あいにくの天気だったのでコースを短く変更し、尻立山の山頂を往復することにしました。
スタートまもなく、KUSACOさんがしゃがみ込んで写真を撮っています。「ズダヤクシュっていう野草です。す〜っごい、花が小さいんですけど、かわいらしい形なんですよ」とKUSACOさん。むむむ…小さな白い点にしか見えなかったけど、近づいてよく見ると、フリルのような花びらがかわいらしいではないか!
先を行くKUSACOさんが「これは、もしや…」と声を挙げています。「ほらほら、葉っぱをめくってみてください。葉の根元に茶色いお花があるでしょ? ウスバサイシンです。地味だけど、すてきな花ですよね〜」。
この日、KUSACOさんが見つけた野草は33種類。その一部をKUSACOさんのコメント付きで図鑑風に紹介しましょう。「雨降りでも楽しめるのが野草観察のいいところ。葉っぱの水玉や、しっとり色鮮やかな花など、すてきな姿が見られますよ〜」。
足元をキョロキョロしながらときに立ち止まり、見つけた野草をじっくり観察したり写真に撮ったり。上を見上げてみれば、しっとりと雨に濡れた木々が頭をもたげています。稜線やピークがなくても、じつは山の至るところに楽しさや美しさが散りばめられている。KUSACOさんの生き生きとした姿を見て、「こんな山登りもいいなぁ」と、山の魅力を改めて感じました。
KUSACOさんが黄緑色の若葉がついた枝をのぞき込んでいます。「オオバクロモジ! 小さな花がたくさんついてる。雨に濡れてキラキラ輝いてます!」。おにCafeで出会ったオオバクロモジとの再会に大感激のようすです。
「ちょっと! ヤマシャクヤクのつぼみがある! こんなところで出会えるなんて嬉しい」と、飛んで跳ねての大騒ぎ。つぼみは小さめの握りこぶしくらい。水気をまとった薄い花びらは、ふんわりと柔らかそう。「咲いてるのももちろん美しいんだけど、つぼみは真っ白なおまんじゅうみたいでかわいいんです」。
「もう少し野草探しをしたい!」というKUSACOさんの希望から、尻立山の先まで散策。朝から霧ときどき小雨が続いていましたが、歩いているうちに天気が回復し始めました。ちぎれたガスの合間から、大佐渡山地の伸びやかな稜線が見えます。
せっかくなので展望のよい草原でひと休み。「こんなにいろんな野草に出会えるなんて思ってなかったから、ドキドキしっぱなしの一日でした! 最後にはすてきな景色も見られて、最高の山旅です。」と今日一番の笑顔のKUSACOさん。午後の光が差し込む草原で、心ゆくまで景色を楽しみ、この日の宿泊先であるドンデン高原ロッジに戻りました。
2日目はドンデン高原から両津港へと移動して、佐渡の観光を楽しみます。まず向かったのは両津港から車で15分のところにあるトキの森公園。かつては日本各地に生息していたトキですが、明治時代以降数を減らし、1980年代からは中国と日本で協力してトキの保護・繁殖が試みられていました。2003年に日本産のトキはついに絶滅してしまいましたが、繁殖に成功していた大陸のトキを2008年に放鳥し、現在では約500羽にまで回復しています。
佐渡にトキが戻ってきたのは、佐渡の人々がトキと共生するために試行錯誤してきたから。トキの大好物はカエルやドジョウなど、田んぼの小動物たち。トキの食べ物を増やすために、農薬を減らしたり餌場づくりをしたりと、佐渡の里山や自然を見直してきました。その結果、トキが住みやすい環境が整うだけでなく、佐渡のお米は全国でも評判になるほど高品質になったそうです。
公園内には、こうしたトキの歴史や生態について学べる「トキ資料展示館」と、トキを繁殖・飼育している「トキふれあいプラザ」があります。佐渡の田んぼではトキがよく見られるようになってきましたが、ここでは間近で観察できますので、是非一度訪れてみてくださいね。
両津港周辺の観光で欠かせないのが佐渡のグルメです。そして、港といえば新鮮な海産物! 港周辺にはおいしいお寿司屋さんや、居酒屋がたくさんあります。夏にはマイカやマアジなどが旬ですが、意外にも佐渡の名物なのが佐渡近海でも多く水揚げされるクロマグロ。
ランチタイムに訪れたのは両津港から徒歩15分のところにある「いしはら寿司」。佐渡産コシヒカリの上に旬の魚介類をたっぷりのせたちらし寿司は満足度◎。北海道出身のKUSACOさんも「どのネタも新鮮でおいしい」と大絶賛でした。
両津港で時間があるなら是非立ち寄ってほしいのが、地元のコンビニ「ハーティウッズ」。ドンデン高原に入る前、取材班も食料を求めて立ち寄ったお店です。早朝6時ごろ、お店がオープンするとサンドイッチやおにぎり、お弁当や惣菜が次々に並べられていきます。地元の人もぶらりと訪れては朝食や昼食を買い込んでいくため、てんこ盛りだった商品が昼過ぎには品薄に。どれもおいしそうで目移り必須。
両津港に接している加茂湖でも、おいしいものはたくさん。加茂湖はもともと淡水の湖だったのを海とつないで汽水湖にしたもので、現在ではカキの養殖が盛んに行われています。
「caMococafe 湖ASOBi」は加茂湖の漁のために使われていた舟小屋を改装したカフェ。店に入るとまず目に入るのが加茂湖に面した大きな窓。天井の太い梁など、舟小屋当時のよさを生かした作りになっています。加茂湖産のカキをふんだんに使ったパスタや、地元産の食材を生かしたメニューが豊富なので、加茂湖と大佐渡を一望する絶景を楽しみながら、のんびり過ごしてくださいね。
2回に渡ってお届けした「佐渡の山旅」。KUSACOさんに感想をうかがうと、「いろんな野草に出会って、おいしいものを食べて。佐渡のことを知れば知るほど、もっと歩き回りたくなっちゃって…。近いうちにまた遊びに来ちゃうかも」とにっこり。魅力満載の佐渡で、自然にグルメに観光に、みなさんも山旅を満喫してください!
YAMAPでは期間限定で、佐渡×YAMAPコラボ手ぬぐいキャンペーンを実施中。
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※ デジタルバッジとは…YAMAPヘルプセンター
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※ 今回のキャンペーン対象地図につきましては、期間中(5月16日~10月31日)、「地図のダウンロード制限」の対象外となります。この機会にぜひ佐渡島への旅にでかけましょう!
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詳細は以下の記事(佐渡×YAMAPコラボ|佐渡の島旅を堪能して限定手ぬぐいを手に入れよう)をご確認ください。
原稿:池田菜津美
撮影:川野恭子
モデル:KUSACO(野表 結)
協力:佐渡市、佐渡トレッキング協議会