都会のイチョウ並木が黄色く染まる秋。ちょっと山に入るだけで、街にはない色鮮やかな紅葉が出迎えてくれます。本格的な山登りの装備がなくても大丈夫。スニーカーで絶景の紅葉を堪能できる場所は、関東にも多くあります。登山地図アプリ「YAMAP」のユーザーが投稿した活動データなどをもとに、おすすめを厳選。登山初心者や未経験者でも手軽に楽しめるコースと見頃を案内します。
絶景紅葉スニーカーハイク2024| 地域別のおすすめコースと見頃を紹介 #03/シリーズ一覧はこちら
2023.09.15
YAMAP MAGAZINE 編集部
「山を歩く」というと色々な装備が必要では? と思うかもしれませんが、今回ご紹介するコースは登山靴や大きなザックは不要。歩きやすいスニーカーで楽しめる、絶景ハイキングコースを厳選しました。
選定基準は以下の通りです。
・歩行時間:30分〜3時間程度
・歩行距離:0.5km〜5km程度
・上り標高差:300m以下
・最高到達地点標高:2500m以下
※一部、上記基準を超えるコースもあります。
※天候の急な悪化に備え、雨具や防寒具、飲み物なども忘れずに。明るい安全な時間帯に歩くようにしましょう。
※コース選定に際しては「天気の良い日」にスニーカーで歩けることを基準としています。雨の日、積雪期は向いていないコースもありますので無理をしないようにしましょう。各山には複数のコースがありますが、今回ご紹介している「スニーカーハイク」推奨のコースに限定して、自然を傷つけないように歩くようにしましょう。
さらに、多くの人が歩いている人気コースであるという点も加味しました。登山地図GPSアプリ「YAMAP」のユーザーの活動データ(集計期間:2021年9月〜2021年12月)をもとに、訪問者数の多かった人気の山・コースを中心に選定しています。
スニーカーは履き慣れたものであれば基本的にはOK。ただし舗装されていない土や岩の上やぬかるみでは、ツルツルの靴底だと滑りやすくて苦戦することも。グリップが効く溝がしっかり刻まれた靴底かどうか、お出かけ前に確認してみましょう。
これだけ済ませれば、あとは気軽にハイキング感覚で出かけるだけ。早速おすすめの紅葉ハイキングコースを見ていきましょう!
足利織姫神社は、古くから織物業が盛んだった足利のシンボル的な存在。境内の一角にある織姫公園もみじ谷は標高60m〜160mのなだらかな山地で、秋には約1,000本のモミジが真っ赤に色づきます。
さらに、鏡山(160m)を経て、関東ふれあいの道となっている稜線を登り、両崖山(251m)へ。かつて足利城があった場所で、本丸跡の山頂に祀られた御岳神社や周辺では珍しいタブノキの巨木が、厳かな雰囲気を醸し出しています。
都道府県:栃木県足利市
例年の見頃:11月中旬〜11月下旬
歩行時間:2時間10分
歩行距離:3.9km
上り:324m
消費カロリー:318kcal
アクセス:東武伊勢崎線・足利市駅から足利織姫神社まで徒歩約17分
※紅葉シーズンが始まるとコース周辺の投稿された写真が表示されます。
中禅寺湖の南に位置する半月山(1,753m)。車で半月山駐車場(1,591m)まで簡単にアクセスでき、スニーカーハイクを手軽に楽しめます。展望があるのは、樹林帯にある山頂よりも、その手前にある展望台。テラスとベンチが整備され、中禅寺湖の対岸にそびえる円錐形の日本百名山、男体山(2,484m)の堂々とした姿をゆったりとながめられます。
さらに、湖に突き出た半島「八丁出島」が眼下に作り上げているのが、色とりどりの紅葉と青い湖面のコントラスト。四季のある日本の良さを感じずにはいられません。
都道府県:栃木県日光市
例年の見頃:10月中旬〜10月下旬
歩行時間:1時間10分
歩行距離:1.3km
上り:154m
消費カロリー:219kcal
アクセス:日光宇都宮道路・清滝ICから半月山展望台駐車場まで車で約35分
※紅葉シーズンが始まるとコース周辺の投稿された写真が表示されます。
姥ヶ平は、那須三山・茶臼岳(1,915m)の西側中腹に広がる湿原地帯。茶臼岳そのものは活火山のため荒涼とした岩場が続きますが、山裾は鮮やかな紅葉に染め上げられます。
那須ロープウェイを利用すれば、山頂駅の茶臼岳9合目(1,689m)までアクセス。茶臼岳の北側に位置する朝日岳(1,891m)の山肌も錦模様に彩られます。
ロープウェイ山頂駅から、茶臼岳山頂への登山道と別れ、茶臼岳の南側をトラバース(横断)するように前進。眼下に紅葉に包まれた姥ヶ平が現れます。少し先のひょうたん池まで足を延ばせば、噴煙を上げる茶臼岳と水辺の紅葉の水鏡に思わず息をのむことでしょう。
都道府県:栃木県那須町
例年の見頃:10月上旬〜10月中旬
歩行時間:2時間10分
歩行距離:4.2km
上り:315m
消費カロリー:447kcal
アクセス:東北自動車道・那須ICから那須岳ロープウェイまで車で約30分
※紅葉シーズンが始まるとコース周辺の投稿された写真が表示されます。
群馬県西部の西上州と呼ばれる山域には、個性的な山容の岩峰が数多くあります。その中でも稲含山(1,370m)は、山歩きの初心者でも比較的登りやすい山。山名の通り、山麓の人々から農耕の神が宿る山として古くから信仰され、山中にある2つの神社には、穀物の神様である宇迦之御魂神(ウカノミタマ)が祀られています。
登山口駐車場のある鳥居峠までの林道は道幅が狭く、未舗装の区間もあるので、運転には注意しましょう。登山道には丸太の階段や鎖場もあるので、スニーカーでも慎重に。稲含神社まで登れば、ピークまではもうひと息。360度のパノラマが広がる頂上からは、荒船山(1,422m)や赤久縄山(あかぐなやま、1,523m)など、西上州の名山はもちろん、日本百名山の浅間山(2,568m)や八ヶ岳、そして空気の澄んだ日には北アルプスまで眺望できます。
都道府県:群馬県下仁田町・甘楽町
例年の見頃:10月中旬〜11月上旬
歩行時間:1時間20分
歩行距離:1.8km
上り:313m
消費カロリー:337kcal
アクセス:上信越道・下仁田ICから茂垣峠駐車場まで車で約40分
※紅葉シーズンが始まるとコース周辺の投稿された写真が表示されます。
駐車場のある標高185mまで車でアクセス可能。金山城址はトイレも整備され、歩きやすいコースが整備されています。イロハモミジやカエデなどの広葉樹の紅葉は見事。国指定史跡である金山城址の石垣や石畳をたどりながら、気軽な紅葉スニーカーハイクを楽しめます。
金山(239m)の一帯には、15世紀に築城された日本100名城のひとつ、金山城址の遺構が点在しています。戦国時代に武田、上杉ら有力な戦国武将でも攻め落とせなかった山城は、地形を活かした要害。本丸跡には、城を築いた新田一族の祖で、「いざ鎌倉」の掛け声と共に鎌倉幕府を滅した新田義貞を祀る新田神社もあります。
都道府県:群馬県太田市
例年の見頃:11月下旬〜12月上旬
歩行時間:40分
歩行距離:1.6km
上り:95m
消費カロリー:155kcal
アクセス:東武伊勢崎線太田駅から車で約11分
※紅葉シーズンが始まるとコース周辺の投稿された写真が表示されます。
群馬県藤岡市に位置する桜山(591m)。山頂の周辺は桜山公園として日本庭園などが整備され、駐車場のある標高514mまで車でアクセスできます。山頂までも歩きやすい登山道が整備され、スニーカーハイクにはぴったり。
桜山の目玉は、国指定名勝・天然記念物に指定されている冬桜。例年11月中旬〜12月上旬に約7,000本が開花し、晩秋でもお花見ができます。この時期に合わせてライトアップも実施され、幽玄な夜桜を楽しむことも。紅葉の見頃と桜の開花が重なる11月中旬には、鮮やかな紅葉と、可憐な白い冬桜を同時に観賞できます。
都道府県:群馬県藤岡市
例年の見頃:10月下旬〜11月中旬
歩行時間:40分
歩行距離:1.1km
上り:87m
消費カロリー:129kcal
アクセス:上信越道・藤岡ICより桜山公園まで車で約38分
※紅葉シーズンが始まるとコース周辺の投稿された写真が表示されます。
那智の滝(和歌山)・華厳の滝(栃木)と並んで日本三名瀑に数えられる袋田の滝。高さ120m、幅73mを四段に流れ落ちる絶景は「四度(よど)の滝」とも呼ばれ、国の名勝や恋人の聖地にも認定されています。
通常は袋田トンネルと呼ばれる施設からの観賞。南側にそびえる月居山(403m)を周回する登山道からは、真横から滝をながめられる場所もあります。
上りの標高差が選定基準の300m以下をやや上回りますが、月居山の全山が紅葉に染まる絶景スポットのため、その人気を考慮して追加しました。山中に点在する観音堂や鐘撞堂とモミジのコントラストや、標高や日当たりによって色づきが異なる木々の色彩の階調を楽しみながら、ゆっくりと歩いてみてください。
都道府県:茨城県大子町
例年の見頃:11月中旬〜11月下旬
歩行時間:2時間30分
歩行距離:3.7km
上り:405m
消費カロリー:351kcal
アクセス:常磐自動車道・那珂ICより袋田滝本町営第一無料駐車場まで車で約50分
※紅葉シーズンが始まるとコース周辺の投稿された写真が表示されます。
関東百名山に選定されている鐘撞堂山(329m)。山名は、戦国時代にこの地を支配していた北条氏が、周囲に急を知らせる鐘を山頂に設置したことに由来しています。それゆえ東屋の設置された山頂からの眺望は素晴らしく、低山とは思えない充実感を得られる山として人気です。
複数の登山ルートがありますが、東側山麓の鐘撞堂山ふるさとの森を起点に、南コースから北コースに周回するルートがスニーカーハイクにはおすすめ。ふるさとの森にある霧ヶ谷津池は農業用のため池ながら、水面に映る鐘撞堂山の紅葉はフォトジェニックな風景です。紅葉に包まれた山頂からも、眼下の霧ヶ谷津池や寄居方面の見事なパノラマが広がります。
都道府県:埼玉県寄居町・深谷市
例年の見頃:11月下旬〜12月中旬
歩行時間:1時間30分
歩行距離:2.3km
上り:212m
消費カロリー:282kcal
アクセス:JR寄居駅から車で約10分
※紅葉シーズンが始まるとコース周辺の投稿された写真が表示されます。
山の魅力に目覚めた女子高生たちをテーマにした人気マンガ・アニメ『ヤマノススメ』。天覧山(195m)はその舞台となる埼玉県飯能市のシンボルで、主人公たちが序盤に登った山です。とはいえ、明治天皇が近衛兵の演習を山頂から統監したことが由来とされる、由緒ある山でもあります。
舗装路や階段が整備された道を登ると、展望台のある山頂へ。飯能市街はもちろん、富士山までを眺望できます。いったん下り草原の中を進むと、源義経を追った常盤御前が振り返ったという伝説が由来の見返り坂。ここを経て多峯主山(270m)に到着します。
下山後に参拝したいのが、天覧山麓の古刹・能仁寺。幕末の飯能戦争では、渋沢栄一の養子・平九郎らが本陣を構えた場所で、境内の大モミジも見応え抜群です。
都道府県:埼玉県飯能市
例年の見頃:11月下旬〜12月上旬
歩行時間:2時間10分
歩行距離:4.5km
上り:278m
消費カロリー:415kcal
アクセス:西武池袋線・飯能駅から天覧山登山口まで徒歩18分
※紅葉シーズンが始まるとコース周辺の投稿された写真が表示されます。
千葉県の紅葉名所と言えば養老渓谷。さらに上流にある秘境的な場所が、梅ヶ瀬渓谷です。明治時代の漢学者・日高誠実が隠棲して400株の梅を植え、梅ヶ瀬書堂という塾を開いたことから名付けられました。
養老渓谷よりも訪れる人が少なく、渓谷沿いのハイキングコースはまさに秘境の趣。両岸は梅ヶ瀬層と呼ばれる白い砂泥岩の崖がそびえ、その上部が色鮮やかな紅葉で彩られます。折り返し地点となる旧日高邸宅跡にはモミジの大木があり、散り際には地面が真っ赤に覆い尽くされる絶景が広がります。
比較的平坦なコースですが、飛び石を伝って川を渡る箇所が多数あるので、雨の日や雨上がりの増水時には滑りやすく注意が必要。旧日高邸宅跡まで無理して行かず、引き返すようにしましょう。
都道府県:千葉県市原市
例年の見頃:11月下旬〜12月上旬
歩行時間:2時間
歩行距離:5km
上り:125m
消費カロリー:431kcal
アクセス:東京湾アクアライン連絡道・袖ヶ浦ICから梅ヶ瀬渓谷駐車場まで車で約40分
※紅葉シーズンが始まるとコース周辺の投稿された写真が表示されます。
※カロリーは総荷重で決まります。ここでは体重50kg+荷物5kg=55kgを想定して計算しています。
※ハイキングに出かける際は、自治体やビジターセンターなどが発信している最新の情報を入手し、必要な装備を揃え、安全に楽しみましょう。また、紙地図や登山ナビゲーションアプリを活用し、道迷いを予防するようにしてください。
※ご紹介しているコースは舗装されていない場所を歩くケースも多く、雨後のぬかるみなどお足元にはご注意ください。
トップ画像:pengin3さんの活動日記より
(編集協力=鷲尾 太輔)
岩田 京子
登山ガイド
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YAMAP MAGAZINE 編集部
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