漫画家の鈴木ともこさんと、アウトドアスタイル・クリエイターの四角友里(よすみゆり)さんによる甲府の山旅・第二弾! 今回は、絶景のプチハイクを楽しめる羅漢寺山や、「日本一の渓谷美」と名高い昇仙峡、戦国の名将・武田信玄ゆかりの寺院など、甲府の楽しみがギュッと詰まった山旅をご紹介。甲州ワインや山梨の郷土料理・ほうとうなど、グルメ情報も満載です。
甲府市では、2022年10月30日まで、甲府市の山や観光地でデジタルバッジをゲットできる甲府市×YAMAP『山のぼり・まち歩き』キャンペーンを開催中。数量限定のオリジナル手ぬぐいはすでに配布終了しましたが、デジタル・バッジは期間終了まで獲得できますので、この機会に甲府の山と観光をお楽しみください。
2022.09.24
池田 菜津美
ライター
ロープウェイで大展望の山頂へ! 羅漢寺山プチハイク
四方を山に囲まれた山梨県には、甲府の山旅・第一弾でご紹介した金峰山や、甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳の山々など、名峰がたくさんあります。じつは県庁所在地の甲府市にも、日帰りで楽しめる名山がいっぱい。そこで今回は、甲府駅からバスで約30分、山梨百名山にも選出されている甲府市の名山・羅漢寺山(らかんじやま)へ遊びに行くことにしました。
羅漢寺山は3つの連立するピークの総称で、最高地点の弥三郎岳(やさぶろうだけ)は標高1,058m。いちばんの魅力は山頂からの大展望で、甲府盆地の向こうに、富士山や南アルプスの山並みを見渡すことができます。
スタート地点は昇仙峡ロープウェイ。山麓の「仙娥滝(せんがたき)駅」から羅漢寺山のピークのひとつ「パノラマ台」まで、標高差300mを5分で結んでいます。
「ぐんぐん登っていくね!」と、ロープウェイからの眺めを楽しんでいるのは四角友里さん。日本全国の山歩きを楽しみながら、アウトドアウェア・ギアの企画開発を手掛けるアウトドアスタイル・クリエイターとして活躍されています。
「山頂の景色が楽しみだね!」と、相づちを打つのは漫画家の鈴木ともこさん。『山登りはじめました』シリーズは、低山から北アルプスまで、山登りの魅力が詰まったコミックエッセイとして、人気を博しています。2022年10月には待望の新刊『山とハワイ』(上下巻・新潮社)も刊行。
パノラマ台駅の目の前は、すでに富士山を望む絶景が広がっています。景色を楽しんだら、いざ出発! 羅漢寺山の最高点・弥三郎岳までは、ゆっくり歩いて30分弱。のんびりプチハイクスタートです。
山頂付近はちょっとした岩場。岩に段差が刻んでありクサリも付いているので、一歩ずつ慎重に進んでいきます。大きな岩を登り切ると、弥三郎岳の山頂へ到着です!
「うわ~! すごいすごい!」と声を上げるふたりの目の先には、弥三郎岳から連なる尾根と甲府の町並みが広がっています。その奥には富士山や南アルプスの山々など、山梨県を囲む名峰たちがそびえています。
大きな岩の上にちょこんと座ってひと休み。友里さんは「ロープウェイからほんの少し歩くだけで、この景色が見られるなんてすごい」とびっくりした様子。ともこさんも「たくさんの人に知ってほしい場所!山好きの方なら特に感激するだろうな」と景色を見渡しています。
四角友里さんのランドスケープフォト①
存分に景色を楽しんだあとは、来た道を引き返してパノラマ台駅へ。帰り道、ふと振り返ると、友里さんが足を止めています。視線の先にはヤマウルシの葉っぱ。「赤と黄色と緑と。季節の移ろいを感じる色のグラデーションがたまらないですね」とにっこり。とっても短いハイキングコースですが、絶景を前にのんびり時間を過ごしたり、自然の美しさをまじまじと観察したり、お楽しみはいっぱい。大満足のプチハイクでした。
四角友里さんのランドスケープフォト②
ロープウェイで下山をしたら、仙娥滝駅周辺でランチをいただくのがおすすめ。昇仙峡の川魚の塩焼きを味わえるお店や、甲府のフルーツを堪能できるカフェなど、さまざまな飲食店が点在しています。
今回立ち寄ったのは、ロープウェイ仙娥滝駅の目の前にある「円右衛門(えんえもん)」。ここの名物は夏にぴったりの流しそうめん。キンキンに冷えた水は昇仙峡の湧き水。真夏でも水温が低く、そうめんがしっかり引き締まるのだそう。自分のペースで楽しむ流しそうめん。「おいしい!」「うまくすくえるとうれしいね!」と盛り上がりました。
ほうとうも人気メニューのひとつ。鉄鍋で提供されるほうとうは、身体の芯からぽかぽかに。野菜がたっぷり入っていて、体も心も満腹になる一杯です。
ロープウェイの仙娥滝駅から徒歩10分のところには、「日本一の渓谷美」と名高い昇仙峡の遊歩道があります。せっかくなので、散策することに。
昇仙峡ラインと呼ばれる車道を進み、仙娥滝入口と書かれた門をくぐると、「金櫻神社」の鳥居が見えてきました。金櫻神社は昇仙峡の最奥にあり、この遊歩道は神社の参道になっています。じつは金櫻神社のご神体は、奥秩父の名峰・金峰山。その山頂には奥宮の祠があり、奇岩・五丈岩も神聖なものとして祀られています。
遊歩道を歩いていると、落差30mを誇る仙娥滝や、巨大な花崗岩でできた石門、切り立った岩峰の覚円峰など、変化に富んだ渓谷の美しさに目を奪われます。自然が作り出した造形美をじっくり楽しみましょう。
山梨県は言わずと知れたワイン王国。日本産ワインの発祥は甲府市と言われていて、明治初期には市内にぶどう酒の醸造所がつくられました。現在、市内にワイナリーは4軒あり、それぞれ個性豊かなワインを販売しています。
シャトー酒折は甲府駅から車で10分、鏡山という小さな山の斜面にあるワイナリー。甲府市内を見渡す展望のよい地で、その周囲には自社で育てるブドウ畑が広がっています。ここシャトー酒折ではワイン造りの現場を無料で見学することができます。月に数回、ソムリエなど、ワインのプロによる特別なツアー(有料)もあるので、ワイン好きは要チェックですね。
シャトー酒折のワインは、クリーンで日常的に味わいたくなるもの。きれいなワインを作るため、亜硫酸などの添加物を必要最低限にし、その分、微生物汚染を抑えるために機材やタンクを清潔に保つことを徹底しています。毎日の作業の8割が洗浄作業で、仕込みシーズンが終わる10月頭には、従業員の方々の手がボロボロになるのだそう。きれいなワインは、誠実な心意気から生まれています。
醸造所を見学したら、お待ちかねワインの試飲タイム。無料試飲と700円の有料試飲があり、それぞれシャトー酒折で人気のワイン3種を飲み比べできます。
無料試飲は、醤油や味噌にもあう辛口の白ワイン・甲州ドライと、スモーキーな香りが特徴的な赤ワインのマスカットベリーA、りんごや柑橘のコンポートのようなさわやかな甘さのある甲州セミスイートの3つ。和食や洋食、食後にと、どれも飲みやすく日常的に食卓で楽しみたいワインです。
有料試飲は、白ワインと赤ワイン2種類の試飲セットがあり、契約農家や自社で丁寧に育てたブドウを使用したワインを味わえます。友里さんのお気に入りはエステート シャルドネという自社農園で収穫したブドウを使ったワイン。糖度20度以上のシャルドネを19ヶ月、樽とステンレスタンクで熟成したものです。「甘みと酸味と、ブドウの味がしっかりしていておいしい。お酒はそんなにたくさん飲めないんですけど、これはとても飲みやすいです」。ともこさんがいただいているのは、マスカットベリーA樽熟成キュヴェ・イケガワ。契約農家のマスカットベリーAだけを使った赤ワインで、芳醇な味わいが特徴です。「樽の香りもするのに果実感もしっかりあって…とってもおいしい。おかわりしたくなります」。
試飲のあとは、お土産選び。「試飲したワインはどれもおいしかったし、スパークリングもグレープジュースも気になるね」とふたりは迷いながら楽しんでいました。
甲府の山旅で一度は食しておきたいのは、山梨の郷土料理・ほうとうです。ほうとうというと味噌味で、鉄鍋で熱々に煮たものを想像しますが、なんと「冷たいほうとう」もあるんです。
ざるうどんのように、つけ汁でいただくほうとうで、地元では「おざら」と呼ばれています。甲府駅から徒歩3分のところにある「ちよだ」は、お昼時にはサラリーマンや地元のお客さんでいっぱいになる人気店。温かいつけ汁には油あげやたけのこなどの具がたっぷり。かつおのだし汁が太麺に絡んで、かむほど味がなじんでいきます。
地元で人気のお店をもうひとつ。友里さんがセレクトしてくれたカフェ「AKITO COFFEE」のコンセプトは「日常に寄り添うコーヒーを」。丁寧に自家焙煎したコーヒーを求めて、地元の方はもちろんのこと、県内外から訪れる方も多いと言います。焙煎豆のパッケージに使われているロゴの「A」は、山の形も意識しているのだそう。「甲府の町の日々の景色に山があるように、コーヒーが暮らしのそばにあれたら」という思いから生まれました。民家をリノベーションしたコンパクトな店舗で、1階はカフェスタンド兼、コーヒー豆の販売などを行い、2階はイートインスペースです。押入れをテーブルに改装するなど、洗練されながらも落ち着く空間。甲府駅から徒歩5分。登山の前や後に立ち寄りやすい立地です。
武田信玄は甲斐国(現在の山梨県エリア)を治めた戦国武将で、現在でも郷土の英雄として、「信玄公」「信玄さん」と呼ばれて親しまれています。
武田神社は、信玄を御祭神として祀っている神社で、戦国時代きっての名将から勝運を得られると、県内外から多くの参拝客が訪れます。甲府駅から武田通り、神社の参道がまっすぐにつながっていて、徒歩だと30分ほど。「見晴らしがよくて、気持ちいいね」と、友里さん。鳥居をくぐって境内に入ると、木々に囲まれた静かなたたずまい。武田家の屋敷跡に建てられ、堀や古井戸、「お屋形さまの散歩道」と呼ばれる散策路が残され、歴史感じるスポットになっています。
武田神社から車で10分ほど離れたところにある甲斐善光寺は、川中島の合戦で焼失が危ぶまれた信濃善光寺(長野県)の仏像や宝物を、武田信玄がここに納めたのが始まりと言われています。高さ27mの金堂はそのスケールにも驚きますが、「日本一の鳴き龍」と言われる天井画や、趣向を凝らされた彫刻など、精巧な装飾も一見の価値があります。
じつは甲府市は天然温泉が豊富な土地。甲府市の銭湯はほとんどが100%源泉掛け流しで、500円前後のお手頃さ。地元の人だけでなく、最近では県外からのお客さんも増えているそう。日帰り温泉も充実していて、地下1,000mから自噴する温泉を楽しめる施設や、ジムやヨガスタジオを併設した新しいコンセプトの温泉施設など、タイプもさまざま。
また、市街地の中心にある甲府温泉や、甲府駅から車で10分ほどの信玄の湯 湯村温泉には、温泉旅館やホテルがたくさんあるので、山の前後に宿泊してのんびり温泉を楽しむことも可能。湯村温泉は長い歴史をもち、1200年前に弘法大師が開湯したと伝わっています。武田信玄が治療のために通ったとも言われ、その効能は折り紙付きです。
ハイキングに観光、おいしいグルメと、盛りだくさんの甲府の山旅。旅の途中、ともこさんと友里さんは地元の人に愛されているお店を訪ねるなど、山と麓をつないで味わう楽しみを教えてくれました。
「甲府のまだ歩いたことのない山にも登れたし、町もこんなに魅力的なところだとは知らなかった。また麓も合わせて、何度も遊びに来たいな」と、友里さん。「忘れられない景色と出会いがたくさんあったね。また季節を変えてゆっくり旅したいです」と、ともこさん。
ぜひみなさんも甲府の山旅をお楽しみください!
YAMAPでは期間限定で、甲府市×YAMAP『山のぼり・まち歩き』キャンペーンを実施中。これは、期間中に甲府市内の指定のランドマークを訪れることで、YAMAPアプリのデジタルバッジ(5種類)を3つ以上集めた方に、指定の配布場所で特製コラボ手ぬぐいがもらえるというキャンペーン(*手ぬぐいの配布は終了しました)。
実施期間は、2022年7月30日〜10月30日まで。デジタルバッジは「金峰山」の他、武田信玄にちなんで「風林火山」をモチーフにした全5種。全部で17か所のランドマークでゲットできます。
※ デジタルバッジとは…YAMAPヘルプセンター
※ YAMAPアプリで当該エリアの地図をダウンロードして活動日記を残すことでデジタルバッジが獲得できます。
※ 今回のキャンペーン対象地図につきましては、期間中(7月30日〜10月30日)、「地図のダウンロード制限」の対象外となります。この機会にぜひ甲府の山旅にでかけましょう!
※ 好評につき手ぬぐいの配布は終了しました。(デジタルバッジは獲得できます)
詳細は以下の記事(甲府市×YAMAP|甲府の山を登って、まちを歩いて限定手ぬぐいを手に入れよう)をご確認ください。
原稿:池田菜津美
撮影:加戸昭太郎
モデル・イラスト:鈴木ともこ(Instagram:suzutomo1101/)
モデル:四角友里(Instagram:yuri_yosumi)
協力:甲府市