登山で怖いのは突然の天候悪化。その時、雨を防ぎ蒸れを逃がす「防水透湿性能」を持ったアイテムほど安心なものはありません。各社からさまざまな防水透湿素材の製品が発売されていますが、中でも登山者からの信頼が厚い素材といえば、言わずと知れた『GORE-TEX(ゴアテックス)』です。
YAMAPは、そんなGORE-TEX製品に関する登山のエピソードを募集する『GORE-TEXプロダクト活動日記キャンペーン』を実施しました。本記事では、大好評で終了したキャンペーンの内容をお伝えするとともに、優秀作に選ばれた作品と、そのエピソードに関するYAMAPユーザーの声をお届けします。
2022.03.29
YAMAP MAGAZINE 編集部
「GORE-TEXファブリクス」は、1958年にアメリカで創業したW.L. Gore & Associatesが開発し、長年に渡り多くの登山者から愛されてきた防水透湿性素材です。今回のキャンペーンでは、GORE-TEX製品を使っているYAMAPユーザーの皆さんから、バラエティに富んだGORE-TEX製品との思い出エピソードを多数投稿いただきました。その中から厳正な審査を経て、見事優秀作品に選ばれた10名の方による活動日記・モーメントをご紹介します!
今回、優秀作品に選ばれたものの中から、4つの作品を最優秀賞として選定させていただき、そのエピソードについてご本人に直撃取材を行いました。
最優秀エピソード受賞ユーザー:ゆうきゃさん
今年の登り納めに彼とふたりで選んだ金時山。12月11日は好天に恵まれた清々しい登山でした。さぁ、来年の登り初めはどこにしようか! と、今年の登り納めとなるはずでしたが…。
登山にハマる前からGORE-TEXが大好きだった私は、フードにファーがついているフォックスファイヤーのオーロラジャケットがお気に入りの普段着。まだ山のことは知らなかったけど、その軽さと防風性、そして何よりカジュアルウェアにはない快適さが大のお気に入りでした。
金時山から下山した私たちは、クリスマスのプレゼントについてお互いの意見を聞くことにしたのです。
もちろん私は、大好きなGORE-TEXの山用のジャケット一択! それも袖にしっかりと「GORE-TEX」の文字がプリントされているジャケットを彼にリクエスト!
実は、8月の彼の誕生日にTHE NORTH FACEの新作GORE-TEXジャケットをプレゼントしていた私でしたが、クリスマスは冬用のGORE-TEXジャケットでプレゼント交換することにしたのです。
プレゼントをお互い購入したイブ前日の夜。待ち遠しいクリスマスの話で盛り上がります。今年の登山は金時山で登り納めだったので、クリスマスは東京クリスマスマーケットに行く予定をしていました。
しかし! 「プレゼントしてもらった冬用のGORE-TEXジャケットを着て雲取山に行ってみないか?」という彼からの驚きの提案で急遽クリスマス登山に変更。私の影響でGORE-TEX大好き人間になった彼。そんな彼も登山が好きになってくれたことがとても嬉しかったです。
もちろん彼からの提案を断る理由はありません。でも、私も彼も登山1年生。急いで登山専門店へ行き、お店のスタッフさんに教えてもらいながら初めての雪山にチャレンジするための道具を購入しました。
その時の活動記録はYAMAPに投稿しているとおり、最高の一日に!ますます山が好きになった私でした。
私が山に魅力を感じたのは、たまたまネットサーフィンをして見つけた、四国にある剣山の稜線の景色がきっかけ。剣山の美しさが、社会人生活の悩みを少しだけ解消してくれました。
初めての登山は、友人と行った2021年7月の塔ノ岳。真夏の暑さも忘れるほど気持ちが良く、稜線の景色にも恵まれた私の初めの一歩でした。
いつか四国の剣山へと、夢を持つことができ、そして彼と一緒に登山を始められたことに感謝です。ま、山は彼より私の方が1ヶ月だけ先輩ですけどね(笑)。
とにかく長かったです。特に七ツ石小屋までの道のりが辛かったけど、初めての雪山と彼がいる安心感で終始ハイテンション! 彼とずっとおしゃべりしながら歩いていたので、通りすがりのベテランのおじさまからは「そんなにずっとしゃべれるなら、熊も近寄ってこないね」なんて言われて大笑い。
そしてついに核心部の山頂直下の急登へ。山頂が見えているのに遠い…。一番つらい登りだったけど、登った後に彼がサンタのコスプレでクリスマス祝いのサプライズ! クリスマスマーケットに行けなかったことで、わざわざサンタの帽子を持ってきてくれていたみたいで感動しました。
下山は順調でしたが、最後の下りは天候の具合でちょっと薄暗くなってきたのでヘッドライトを装着。実はヘッドライトも初めての経験です。彼から「森の中にふたつの光が見えたら動物だよ」と言われて振り向くと、そこにはたくさんの光る眼玉が…。鹿さんの家族のようでした(笑)。
歩く距離が長かったけど、雲取山に登れたおかげでさらに山が好きになり、今も毎日YAMAPで勉強中です。
さて、今年はいよいよ夢に見た四国の剣山です。彼とふたりで行ってきます!
山の事を考えると夜も眠れず、すぐに車を走らせて行きたい衝動に駆られる。ゆうきゃさんのエピソードを読んで、そんな山に出会った頃の感情を思い出しました。あぁ、山に行きたい。
最優秀エピソード受賞ユーザー:たいてんさん
「定年を控えて、ふと想像した。5年後の自分は、家でゴロゴロしている今の自分をどう思うのかと…」。
もともと外に出ることが好きな私。頭の中には、友達から聞いた山登りの話がありました。「まだまだ若いし挑戦できるだろう」と思い立ち、インターネットやYoutubeで情報を集めました。思い立ったらすぐ行動。山登りに必要な登山靴、ザック、レインウェアを取り急ぎ買いそろえました。
初めての山は高尾山に決めて、ホームページのコースマップを見ながら、沢沿いのコースから登る計画を立てました。始発電車に乗り込んで、いざ高尾山へ。朝早く乗り合いの少ない電車は、なんだか新鮮。沢沿いの登山道はさわやかでしたが、なかなかきつく、ほうほうの体ながらなんとか山頂に立てました。
でも、そこに広がる景色を前にすると、得も言われぬ達成感がありました。山頂で休憩していると、「陣馬山まで5時間くらい掛かるんだよ」と話している登山者の声が聴こえてきました。近そうに見えてもあの山までは遠いなと、その時は思ったものです。
山から帰ると2〜3日は足の痛みが残りましたが、山行計画を立てるのは面白く、近郊の日帰り登山に毎月出かけるようになりました。5ヶ月後には、高尾山から陣馬山への縦走ができるようになり、まだまだやればできるなと自信がつきました。しかし、その縦走中は霧雨で、取り急ぎそろえたレインウェアでは中がぐしょぐしょになり最悪でした。
定年を迎えた日、女房から「お祝いに何か欲しいものがある?」と聞かれ、GORE-TEXのレインウェアをお願いしました。山登りという趣味を見つけてくれてうれしいと言う女房は、GORE-TEXのレインウェアだけではなく、なんとザックまでプレゼントしてくれました。
プレゼントもうれしかったのですが、何よりもその気持ちがうれしかった。
その翌月、金時山から箱根湯本まで縦走しました。いまひとつ天候が安定しなくて、雲が広がり、途中でガスったりしましたが、GORE-TEXのレインウェアを持っているだけで安心感が違いました。「もうあのぐしょぐしょの最悪な思いをしなくていい。装備次第で、こんなにも余裕が出るのか」とびっくりしたのを覚えています。
今年の夏山の計画はまだこれから。地図を見ながらルートを想像し、必要な行動食や装備を算段する、なんとも楽しい時間です。いまでは山登りは、子供との会話のいいきっかけにもなっています。これからも、女房に贈ってもらったレインウェアとともに山を登っていきます。
初めて山に登ったときの感動、ちゃんとした装備のありがたさを知ったときなどを思い出させてくれました。奥様から贈られたGORE-TEXとともに山登りされる姿を想像して、心がほっこり温かくなりました。
最優秀エピソード受賞ユーザー:やまんちゅさん
10年以上続けてきた登山。息子が小さいときにはベビーキャリアを背負ったこともあります。今では一緒に登れるようになり、これまでにもたくさんの山を一緒に登ってきました。安達太良山、常念岳、雨飾山。一緒に登るときにも、自然をより身近に感じられるようにとテント泊を。
今回は前々から行きたかった唐松岳へ。ロープウェイもあるのでアプローチもよく、子供と登るにはいい山です。
出発前の天気予報はよかったのですが、登り始めると怪しい空模様に。雨に降られる前になんとかテント場に着きましたが、テント設営中にポツポツと落ちてくるものが。設営し終わったテントに潜り込むと、やがてバケツをひっくり返したような大雨になり、風も出てきました。その音やテントがあおられる様子に、不安がる息子。少しでも気持ちが落ち着くようにと寄り添いました。少し狭かったのですが、ひとつの寝袋に入って、テント場で見かけたライチョウなどいろいろな話をしました。
目が覚めたのは翌朝3時頃。テントを出ると満天の星空が広がっていました。
日の出に合わせるために小屋の前で時間を過ごし、いざ山頂へ。相変わらず風が強いので、生まれて初めて買ってあげたGORE-TEXのシェルを着させました。これで安心。ヘッドランプを点け、手をつなぎ、GORE-TEXのシェルに守られながら、なんとか頂上まで登りきり、2人で体いっぱいに朝日を浴びました。
がんばってたどり着いた山頂。「この日、この場所、この瞬間」にいなければ見ることができない特別な景色を我が子と見れたうれしさの反面、思い出としていつまでも覚えていてくれているといいな、というさみしい気持ちもこみ上げました。
登っているときはつらそうに見えたけれど、写真を見ながら山の話をすると、「楽しかった」と言ってくれた。また一緒に山でこそ感じられることを体験して、同じ時を過ごしたい。今年はどこに行こうか。燕岳とか、いいかな。
お子さんへの想いにあふれた山登りに愛を感じるエピソードでした。その瞬間をGORE-TEXもサポートできて何よりです。山登りを通して、お子さんがどのように成長していくのか、楽しみですね。
最優秀エピソード受賞ユーザー:Ryuさん
気がつけば大学を卒業するまで競泳に没頭していた学生時代。そんな部活漬けの毎日を送っていた高校3年生の誕生日祝いとして、姉からプレゼントしてもらったのがアークテリクスのGORE-TEXジャケットです。
その頃は、機能というよりは流行り的な感覚でひと目惚れした高級品でした(笑)。
それからも大学時代まで競泳に勤しんでいた僕は、登山が趣味になることはなく、そのGORE-TEXジャケットは都会を中心に大活躍してくれました。
大学を卒業して社会人になった僕は、転勤で九州の自然と文化に触れるきっかけを得ました。
九州の広大な自然の中でも一番のお気に入りが、屋久島。もう6回も通っていますが、何度行っても新たな発見が得られる自然の奥深さがあります。特に記憶に残っているのは、稀に出合う晴れた日の太鼓岩からの大パノラマ展望です。
雨が多いと言われる屋久島だけあって、姉からのプレゼントは大いに機能を発揮してくれました。それまでファッションアイテムとして使われていたGORE-TEXジャケットが底力を開眼したような感じです(笑)。
それと同時に、九州の自然の遊び方を教えてくれた先生との出会いも欠かせませんでした。競泳時代の先輩からの紹介で知り合った方で、元カヌー日本代表という経歴を持ちながら海や山の遊び方を熟知されていました。今回の写真にも一緒に写っていますが、僕が本格的に登山を始めたきっかけを与えてくれた方でもあります。
実は、僕が登山を始めたのはここ1年くらい。登山が好きになっていくと同時に、7年も使っているGORE-TEXジャケットのケア方法が間違っていたのではないかと気がついたのです。山で使ってみると、もしかすると本来のパフォーマンスを発揮できていないのでは、と疑問に思うような経験が何度かあったのです。
高校3年生の頃から7年間、汚れた体育着と同じようにGORE-TEXジャケットを洗濯機に放り込んでいただけで、撥水の手入れなどしていませんでした。調べてみたら、熱を加えて撥水機能を回復する方法があると分かりました。
さっそく試しました。
復活しました。正直驚きました。7年間も撥水の手入れをしなかったにもかかわらず、ちゃんとした手入れをしてあげると、それに応えて本来の機能が復活したのです。
もうすぐ九州の転勤生活が終わります。近々東京に戻ることになりました。
思い返せば、高校3年生から使い続けているGORE-TEXジャケット。九州生活での海や山のほとんどでお世話になりました。そしてちゃんとしたケアをすれば、機能が蘇ることを知って益々愛着が湧いてきました。
東京では、休みを使って関東百名山への登山や伊豆諸島への旅にもチャレンジしてみようかと考えたりして、とても楽しみです。
ケア方法を知ることで目覚めた真の力! そんなエピソードがお聞きできてワクワクしました。自然の奥深くに入るための道具は、しっかりとしたケアでいつまでも使い続けたいですね。
ここからは、6つの優秀エピソードを編集部のコメントとともにご紹介します。
優秀エピソード受賞ユーザー:まぽさん
登山好きをまたひとり増やしたGORE-TEXに感謝。これからもGORE-TEXと共に、山を楽しんで晴れやかな気持ちになってください!
優秀エピソード受賞ユーザー:Numachiさん
雪山や爆風などの過酷なフィールドでも、GORE-TEXを着ているという快適さと安心感。だからこそ、ついつい他のアイテムもGORE-TEXで揃えてしまいますよね。
優秀エピソード受賞ユーザー:モモさん
旅を思い返しながら、大切にメンテナンスされている姿が浮かびました。まさに一生モノのパートナー。今度はどこに出かけるのでしょうか。
優秀エピソード受賞ユーザー:risaさん
お母さんと一緒に始めた登山とのことですが、100座目達成おめでとうございます! 初任給で手に入れてから沢山の山に一緒に登ったGORE-TEXジャケットが今は母のもとで活躍中というエピソードは、家族っていいなと素直にほっこりしました。
優秀エピソード受賞ユーザー:きょーこさん
一面に白が広がる雪山はきれいですが、ラッセルはきついですよね。体からの熱量でウエアを脱ぎ捨てたくなる気持ち、わかります。そんなラッセルでも思わず楽しくなる、蒸れないGORE-TEXの高い機能性に改めて気づかされました。
優秀エピソード受賞ユーザー:うさこさん
駐車場に着くと悪化する天候。そんなときに限って持ってくるのを忘れたレインウエア…。よくありますよね。隣の車の方がGORE-TEXジャケットを貸してくれるなんて、うさこさんは普段から行いが良いに違いありません! 人との出会いも、山のいい思い出ですね。
50年以上もの長きに渡り、登山者の安全登山を支えてきたGORE-TEX製品。みなさんも登山専門店のスタッフから「間違いない」とおすすめされた経験があるのではないでしょうか?
登山をたしなんでいる方であれば、誰もが感じるGORE-TEXの絶大な安心感。さまざまな機能がありますが、特筆すべきは、経年劣化が少ないと言われる防水透湿の耐久性。長く使える道具で、登山を楽しむことは、環境配慮にも直結する一人ひとりができる山道具の使い方。
突然の天候悪化、稜線を吹き抜ける強い風、気温が低下する早朝の山頂など、アウトドアフィールドでは厳しい状況に立たされることは少なくありません。GORE-TEXはそんな悪条件の中でも高いパフォーマンスを引き出すために、ラボでもフィールドでもテストにテストを重ね、アウトドアで遊ぶ私たちに安全と快適さを提供してくれます。
これからもGORE-TEX製品と共に、思い出に残る山登りをお楽しみください。
取材:かねだこうじ(ハタケスタジオ)
協力:日本ゴア合同会社