参加者求む!北アルプスの展望台『YAMAP新道』登山道整備プログラム【募集終了】

昨年、地元ボランティアの方々やYAMAPユーザーさんの手を借りて、飛騨市・天蓋山(てんがいさん・1,527m)に拓かれた「YAMAP新道」。自然保全×地域活性化のために拓かれたこの道は、おかげさまでたくさんの登山者によって踏み固められ、美しく保たれています。

しかし、相手は自然。人と自然が共生する美しい登山道を育んでいくためには、こまめな手入れが必要です。そこで今年も、冬を迎える前にYAMAP新道の登山道整備を実施することになりました。

登山道整備は、普段の山登りとは違った目線で山を眺めるという、新しい山の楽しみ方。いつも楽しませてもらっている自然への恩返しだけでなく、たくさんの学びや地域・人との繋がりを育む絶好の機会にもなるでしょう。ぜひ、このチャンスをお見逃しなく!

2024.10.02

YAMAP MAGAZINE 編集部

INDEX

日本の豊かな自然が色濃く残る「飛騨市・天蓋山」

「天蓋山(てんがいさん・1,527m)」は、岐阜県北部の飛騨市にある、知る人ぞ知る北アルプス展望の山。山頂は360度遮るものがなく、薬師岳、北ノ俣岳、黒部五郎岳などの名峰が望め、遠くは立山連峰、御嶽、白山までもが見渡せるパノラマ絶景を楽しむことができます。山頂までは2時間半ほどで到達できるため、気軽に行ける“展望特等席”と言ってもいい山です。

しかしながら、「天蓋山(てんがいさん・1,527m)」の魅力は山頂からの景色だけではありません。杉の人工林と広葉樹の天然林からなる豊かな森の植生や植物の多様性を、4時間程度の山歩きでありながらお腹いっぱい味わうことができる、大変貴重な山なのです!

岐阜県最北端にある「飛騨市」は、面積の93%を森林が占める自然豊かな場所です。その93%の森林のうち、68%という広範囲を広葉樹天然林が占めるという特徴を持っており(全国平均は47%)、これはつまり、豊かで多様な植生を持つ自然が広範囲に広がっているということ。

深く広く根を張る広葉樹の樹木は、山の中にたくさんの水を蓄えたり、土壌保全や水質浄化、そして山地の災害防止にも貢献します。樹種も豊富な広葉樹の森は、生物多様性の宝庫。地面まで太陽の光が届く豊かな森は、人々の心も浄化してくれる効果があるように感じられます。

数年山歩きを続けてみると、「なんだか、歩いていて気持ちがいいな」と感じる森とそうでない森があるはず。山には「明るい森」と「暗い森」があるんです。この「天蓋山(てんがいさん・1,527m)」の森は、まさに「明るい森」。植物や森に関心を向けて山歩きをしてみたいという方に、心からおすすめしたい山です。

古くから飛騨で築かれてきた自然との共生

私たちの祖先は必要最低限の資源を山から調達し、山の手入れをすることで、永続的な生活を営んでいました。森林面積の広い「飛騨市」でも、古くから薬草、山菜の活用や、狩猟などの文化が根付いています。豊かな自然は、人の手入れも含めて成り立っていたのです。

しかし現代では、少子高齢化や人口の都市集中が進み、「暮らし」における自然との共生関係のバランスは崩れつつあります。自然を守るパトロール員やガイドの高齢化に加え、保全技術の継承、さらには登山道整備や獣害対策に必要な人員や予算の確保など、様々な課題が生じる中、持続可能な自然環境保全はますます難しくなっているのが現状です。

人々が古くから享受してきた豊かな自然の恩恵を、次世代にも残していきたい。豊かな森を守りたい。そんな思いで始まったのが、登山者など、飛騨の自然の恩恵を共に享受する仲間たちの力を借りて森や山を助けるプロジェクト、その名も「森スケ!」。

「池ケ原湿原のヨシ狩りツアー」は、2022年に実施。「自然保全活動=楽しくて深みのある旅」という新たな可能性を示したツアーだった

■森スケ https://hidasuke.com/events/event/morisuke2024/

今回は、その森スケ!プロジェクトの一環として、飛騨市&YAMAPがタッグを組んで取り組んできた新登山道整備プロジェクトの第二弾。昨年完成した「YAMAP新道」がより一層訪れやすい場所になるよう、アップデートを加えます。

昨年の登山道開拓の様子

さらに今回は、登山道整備プログラムと同時開催で、自然に対する知識を深めることができるスタディプログラムも合わせてご用意しました。自然に関する面白い学びや知識を深め、山を大切に想う気持ちを育むことを目的としたツアーで、親子や家族での参加もOK。

森を知り、山を知ることで、山歩きはもっと楽しくなります。

そして登山道整備も、より一層「やりがい」を感じることができるはずです。

本プログラムは、登山道整備に関わることが出来る貴重な体験であり、知的好奇心あふれる山好きの皆さまにとって、またとない機会になること間違いなし。いつも楽しませてもらっている自然への恩返しとして、ぜひご参加ください!

YAMAPユーザー限定!10/27(日)開催・YAMAP新道整備プログラム

ということで、YAMAPが飛騨市とタッグを組み、YAMAPユーザー限定のプログラムを企画しました。もちろん、ただの環境保全ボランティア活動ではありません。山や自然を愛する仲間たちとの交流を楽しみながら、今年運営を再開した山之村キャンプ場にテントで前泊し、翌日は登山道整備を実施するというワイルドな企画をご用意しました。

天蓋山のある山之村エリアの特産品や地のものを味わいながら夜を過ごし、翌日は登山道整備活動を行いながら天蓋山の山頂を目指します。「さあ、我こそは!」というYAMAPユーザーの皆さんのご応募、お待ちしております!

天蓋山・登山道整備プログラムの概要

日程:2024年10月26日(土)~27日(日)1泊2日
集合場所:山之村キャンプ場 岐阜県飛騨市神岡町森茂1940−1 ※現地集合現地解散
宿泊:山之村キャンプ場(宿泊はテントとなります)
移動:現地集合解散(自家用車・レンタカーをご利用ください)
料金:11,000円(税込・子ども無料)

< 行程 >
1日目 夕食あり
昼:山之村キャンプ場受付「夕顔の駅」にてイベント「YAMAP FORESTWORK FIELD in 飛騨山之村」実施(10:00~16:00 ※自由参加)
夜:キャンプ場にて懇親会・キャンプファイヤー(クイズ大会・神岡とんちゃん、豚汁、山之村牧場のソーセージなど夕食の提供あり)→持ち込みテントにて宿泊(レンタル可能)

2日目 朝食・昼食あり
朝〜昼:2班に分かれて登山道整備・天蓋山登山
A班:【大人向け】YAMAP新道のロープをチェーンに変える登山道整備活動プログラム
B班:【親子・ビギナー向け】YAMAP専属ガイドひげ隊長に自然と保全を学ぶスタディプログラム

※2日目の行動班については、お申し込みページよりご希望をお伺いします。
※本プログラムには多数の応募が予想されます。応募者多数の場合、厳正なる審査のうえ、参加確定の方のみを対象に、旅行代金、行程詳細等をご連絡させていただきます。あらかじめご了承ください。
※整備作業には特別な技術などは必要ありません。登山に必要な体力と山を愛する気持ちを持っていることが参加条件となります。
※プログラムを取材し、YAMAP MAGAZINEにて記事化を予定しています。参加者の皆さんの様子も掲載されますので、あらかじめご了承の上、お申し込みください。

10/26(土)開催|森林資源活用をテーマにしたワークショップイベントを開催

10/27(日)の登山道整備プログラムに合わせて、10/26(土)にはどなたでも参加できる体験型イベントを実施します。こちらでは、山之村の豊かな森林資源を活用したワークショップを複数ご用意しています。27日の登山道整備への参加が難しい方も、ぜひご参加ください。

開催日:2024年10月26日(土)
開催時間:10:00~16:00
開催場所:山之村キャンプ場(岐阜県飛騨市神岡町森茂1940-1)

山之村キャンプ場の受付・食堂・管理棟「夕顔の駅」

・飛騨市まちづくり観光課下村(しもむら)さんからのメッセージ

昨年スタートした天蓋山・新登山道整備ツアーの目的は、山之村の活性化と全国の仲間とともに自然保全に対する意識を醸成していくことです。

今年は、昨年の参加者の思いをどのように繋いでいくか、また、決まった人しか関われないと思われがちな保全活動への「関わりしろ」を作ることで、「保全活動の見える化」と「ボランティアの拡大」に取り組み、先人たちへの感謝とともに、未来へバトンを繋いでいきます。

秋の終わり、みなさまと一緒に自然・森林保全について考えてみたいと思います。みなさまのご参加を心よりお待ちしております!!

登山基点となる「奥飛騨山之村牧場」と「山之村キャンプ場」

さて、最後に改めて、天蓋山登山の登山基点となる、ふたつのスポットの魅力を改めてご紹介します。

天蓋山の中腹(標高1,000m付近)には盆地が広がっており、そこに点在する7つの集落は「山之村」と総称されています。岐阜県で唯一「日本の里100選」に選ばれており、葺(かやぶ)き民家や全面板造りの伝統的な倉庫「板倉」が残り、日本の原風景を感じながら散策するだけでも気持ちがいい開放的なエリアです。

▲-20℃を下回ることもある厳寒の気候だからこそできる「寒干し大根」。地元が誇る伝統食品だ

そののどかな里には「奥飛騨山之村牧場」という牧場があり、高地の特性を活かして貴重なジャージー牛が飼育されている。濃厚な乳製品(牛乳、ヨーグルト、プリン)や肉製品(ソーセージ、ハム、ベーコン)を味わうことができ、乳搾りや乗馬などの体験も充実している人気の牧場です。

▲湿度が低くカラッと爽やかな牧場。空気が美味しく、優しい時間が流れている

▲牧場では、牛乳のほかソーセージなどの加工品も生産されていて人気

この「奥飛騨山之村牧場」こそ、天蓋山・YAMAP新道の入り口となる場所。本プログラムでは、1日目の夕食として、牧場で手作りされたソーセージや寒干し大根などの「食」の楽しみもご用意しています。登山道整備を共にする仲間たちとの前夜祭に美味しいものを食べるだけで、山之村の活性化にも貢献できてしまうのです…!

そしてもうひとつの登山道(旧道)の基点となる場所が、「山之村キャンプ場」。昨年、担い手不足を原因に一時は休止してしまったキャンプ場ですが、飛騨市の公募により事業継承が行われ、今年の春に運営を再開しました。

入り口にある施設「夕顔の駅」は、受付・管理棟・食堂を兼ねた山之村キャンプ場の顔。番犬であるドンくんがお出迎えしてくれます。敷地内に登山道を有する山之村キャンプ場の魅力は、なんといっても登山に最適な好立地。登山とキャンプを組み合わせることで、山之村の自然の魅力を存分に体感できます。

キャンプ場の敷地内には小川が流れており、浅いのでお子様も安心。テントサウナセットの貸出も行っており、キャンプでの新しい楽しみ方も広がります。

さらになんと、この山之村キャンプ場では、宿泊者全員に朝食(そば)の無料サービスを行っています!なんていたれりつくせり…。管理人の浜崎さん(写真左)のお人柄を感じられる、手厚いサービスです。

天蓋山を登る際には、ぜひとも「奥飛騨山之村牧場」と「山之村キャンプ場」をご利用ください!

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長い記事となってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。ここまで読んでいただいた方へ、飛騨市や山之村、天蓋山の魅力がビシビシ伝わっていましたら幸いです。

山や自然のことをもっと知りたい方、登山道整備や保全活動に興味がある方。参加条件は、そんな好奇心や熱い想いだけ!ぜひ10月の登山道整備プログラムでお会いしましょう!

写真:西條聡
協力:飛騨市

YAMAP MAGAZINE 編集部

YAMAP MAGAZINE 編集部

登山アプリYAMAP運営のWebメディア「YAMAP MAGAZINE」編集部。365日、寝ても覚めても山のことばかり。日帰り登山にテント泊縦走、雪山、クライミング、トレラン…山や自然を楽しむアウトドア・アクティビティを日々堪能しつつ、その魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと奮闘中。