マウンテンハードウェアのウィンドシェルが選ばれる理由|「コアエアシェル」を徹底解説

本格的な登山シーズンも目前。装備の買い替えを検討している登山者も多いことでしょう。それなら「マウンテンハードウェア」の春夏の大人気商品であるウィンドシェル「コアエアシェル」をぜひとも検討してみてください。その性能のよさから、登山ショップを訪れた山好きのハートを射抜いて口コミでも大ヒット中。

今回は登山ガイドの伊藤 伴さんとマウンテンハードウェアのショップスタッフ照井優名さんに、「コアエアシェル」の魅力について徹底解説してもらいました。

2025.04.16

平野美紀子

編集・ライター

INDEX

解説してくれるのはこちらのお二人


伊藤 伴さん(以下伊藤)
日本山岳ガイド協会認定登山ガイド。大学3年生で当時最年少となるエベレスト登頂を果たす。現在は登山ガイドとして、アルパインクライミングやアイスクライミング、ハイキング、バックカントリーなど国内外のさまざまなフィールドで活動する。

照井優名さん(以下照井)
マウンテンハードウェア昭島アウトドアヴィレッジ店 スタッフ。アウトドア好きの家族のもとで育ち、幼少期から自然に親しむ。2023年の入社以降は、ショップからアクセスしやすい奥多摩エリアを中心に登山を楽しんでいる。

そもそも、どんな人がコアエアシェルを買ってるの?

「コアエアシェル」の魅力を説明する前に、まずは一体どんな人たちに選ばれているのか全国のショップを調査! すると、同じような悩みを持っている人から選ばれていることがわかりました。

そこでショップスタッフを代表して、照井さんにリアルに体験された接客エピソードを聞いてみました。

照井:ちょうど春夏の登山を控える今の時季になると、レインシェルやフリースなど雨を防ぐものや、保温するものは持っているけど、もっと軽くて気軽に羽織れるアウターが欲しいというお客様がご来店されることが多いです。

伊藤:そのようなお客様がいらっしゃったら、照井さんは何を提案しますか?

照井:私の場合、ソフトシェルと「コアエアシェル」をどちらもお見せすることが多いですね。
手にして比較してもらうと、「コアエアシェル」の薄さ、軽さにまず驚かれる方が多いです。

伊藤:かなり小さくなりますしね。

照井:そうなんです。パッカブルになるようすを実演して見せると、すごく喜ばれます。レインシェルやフリースにプラスして携行しても邪魔にならないのは大きな魅力だと思います。

伊藤:この時季はたしかにソフトシェル系のアウターを探す方が多いでしょうね。ただ僕の肌感ですが、それはまだまだウィンドシェルの存在を知らない人が多いからではないかと思うんです。

照井:そうかもしれません。

伊藤:春先のアウターとして多くの方がイメージするのは、レインシェルや防風性を備えたソフトシェル。ウィンドシェルは、まだ知る人ぞ知る存在ですよね。

照井:ウィンドシェルのカテゴリーに属する「コアエアシェル」はレインシェルに比べると通気性に優れ、ソフトシェルに比べると薄くて軽く、嵩張らない。そのようにお客様へご説明すると感心して下さり、レインシェルやフリースにプラスして購入いただけることもあります。

伊藤:ちなみにそのようなお客様は、どういった登山を想定して探しにきますか?

照井:春夏秋3シーズンの低山〜高山と幅広いですが、とくに多いのが夏の高山というケース。やはり麓と山頂、朝と晩など気温差が激しい夏の高山では体温調整の難しさがネックなようで、雨を防ぐレインシェル、フリースなどの保温着の+αとなるアウターを探されているという印象です。

伊藤:たしかに春や秋の出発時の肌寒さ対策に、夏の稜線や山頂での風・紫外線対策にちょうどいい。あと夏は、透湿性があるとはいえレインシェルは暑いから極力着たくないという人も多いですが、「コアエアシェル」なら小雨程度は凌げますしね。

照井:そうなんです。撥水性、防風性に加えて通気性も備えているため、着ながら体温調整しやすい。もちろん、レインシェルに代わるものではないときちんとお伝えしたうえで、脱ぎ着する回数が減るのもメリットだと感じていただいています。

コアエアシェルは「軽くて快適なレイヤリング」の最適解

左/メンズ コアエアシェルジャケット ¥16,500 右/メンズ コアエアシェルフーデッドジャケット ¥17,500

エントリー層から上級者まで、幅広いお客様に支持されているコアエアシェルは、一体どんなウィンドシェルなのか。その特徴を具体的に見ていきましょう。

防風して通気するPERTEX®︎ QUANTUM AIRを採用


世の中にはさまざまなウィンドシェルがある中で、「コアエアシェル」が秀でているのは、高機能かつ着心地のよい素材を採用した点が挙げられます。

伊藤:ウィンドシェルといえば生地がシャカシャカしているイメージがありますが、「コアエアシェル」の生地はしなやかで柔らかい。夜に山小屋でガサガサいじっていても、うるさいと怒られることはないと思います。

照井:怒られることがあるんですね(笑)。「コアエアシェル」は生地に「PERTEX®︎ QUANTUM AIR」を使っているのが大きいですよね。

PERTEX®︎ QUANTUM AIRの概念図。防風、撥水しながら通気する特殊な構造を採用している

伊藤:90年代後半以降に出てきた従来のウィンドシェルは、防風性を備えるために後加工を施しているものが多く、それがシャカシャカする原因となっていました。

PERTEX®︎ QUANTUM AIRがしなやかで柔らかいのは、生地の目の詰まりだけで防風性を適えているからで、これはとても特殊で高度な技術なんです。

照井:たしかに「PERTEX®︎ QUANTUM AIR」の生地は、一つひとつの織り目がとても細かく、非常に薄く仕上がっています。

伊藤:基本的に防風を目的に作られたウィンドシェルは、通気性はそこまで重視していない場合が多く、防風を優先した生地の選び方、生地の後加工をしていることが多いです。

一方で、「PERTEX®︎ QUANTUM AIR」は適度な防風性とちょうどいい通気性、双方をいいとこ取りをしているのが特徴的だと言えます。

小雨も岩場も気にならない

撥水性に加え、格子状に織られたリップストップ生地により耐久性にも優れる

優れた撥水性や耐久性を備えているのも「PERTEX®︎ QUANTUM AIR」の特徴です。

伊藤:僕は、真冬の雪山を除く春夏秋のシーズン中はずっと「コアエアシェル」を使っています。季節やシーンに合わせながらベースレイヤー、もしくはフリースの上に羽織っていて、小雨程度ならレインシェルを出さずに着続けることも多いです。

照井:登山がメインですか?

伊藤:登山はもちろん、クライミングで着用することも多いです。ビレーといってロープを下で確保しているときは寒いのでよく羽織りますし、岩に擦っても全然平気。“日本のヨセミテ”と呼ばれるクライマーの聖地「小川山」の硬い花崗岩で擦っても、今のところ一度も破れたことはありません

照井:20デニールの細い糸を使いながら、リップストップ構造によって引き裂きに強いのも魅力ですね。

軽い&動きやすいからハードなアクティビティも快適

伊藤:コアエアシェルはトレイルランニング界隈でも人気みたいですよ。ランナーの友人たちから愛用しているとよく聞きます。

照井:そうなんです! 私が働いている昭島は奥多摩エリアに近く、トレランをされるお客様が多く来店されます。ハセツネなど大きい大会が開催される際も、ランナーの方が来店されて「コアエアシェル」を購入されることがあります。

伊藤:通気するうえに、このしなやかさと軽さはランナーにとって正義ですよね。

メンズ シャツジャケット(Mサイズ)の重さは133g、ウィメンズ フーデッドジャケット(Mサイズ)は132g。生地はしなかやかで程よく伸縮し、ハードな動きにも対応

照井:Mサイズの重さはレモン1個分ほどの軽さですからね。コンパクトなトレラン用のバッグに収納しやすいパッカブル仕様という点も、支持されている理由の一つです。

ジャケット内にある内袋にまるっと収まり、上下に付属したループはカラビナに引っ掛けられるなど使い勝手も抜群

伊藤:あと季節は少し先になりますが、バックカントリーで重宝している方も多いです。本格的なバックカントリーは運動強度が高く発汗するので、薄着になりたいんですよね。でも冷たい風は防ぎたい。ハイクアップ時はフリースの上に「コアエアシェル」を羽織り、滑走時はその上にハードシェルを羽織れば快適です。

よりタフに、より長く着続けられる新作ハイブリッドフーディ


ハイキングからクライミング、トレイルランニングなど、さまざまな山のアクティビティを快適にしてくれる「コアエアシェル」。マウンテンハードウェアがサポートする世界各国のアスリートも、「コアエアシェル」を愛用しているそうです。

そのなかで寄せられたフィードバックをもとに、従来のコアエアシェルのよさを保ちながらより本格的な山行でも使えるアップデートを追求し、完成したのが新作「ハイブリッドフーディ」とのこと。ここからはその特徴に迫っていきましょう。

耐摩擦・耐久性がUP!

色が濃い部分がコーティングを施したPERTEX®︎ QUANTUM AIR、色が薄い部分が従来と同じPERTEX®︎ QUANTUM AIRを使用している

照井:その軽さや高い汎用性が評価されてきた「コアエアシェル」ですが、アスリートたちが行う強度の高いアクティビティにおいて、より求められたのがさらなる耐久性でした。

そこで「ハイブリッドフーディ」では、「コアエアシェル」から生地の使い方を大きく変更しました。通常の「PERTEX®︎ QUANTUM AIR」と、PUコーティングした「PERTEX®︎ QUANTUM AIR」の2種類を使用しています。

伊藤:バックパックを背負ったときに負荷が掛かりやすい肩や背中、胸辺りにコーティングした生地を配置したことで、耐摩耗性や引き裂き強度が増していますね。

照井:コーティング部分は耐水性も高くなっていますね。

長く着続けられる細やかなディテールも


ディテールを極力排したシンプルなデザインの従来モデルに対し、ハイブリッドフーディは使い勝手のよいディテールが満載! ずっと着続けていられる快適性が向上しています。

・両胸にポケットを追加

大きめに設計された胸ポケットにはスマホもスッポリ収まる

照井:前まではハンドポケットしかありませんでしたが、ハイブリッドフーディは両胸にポケットが追加されましたね。

伊藤:クライミングをする身としては、ハーネスでハンドポケットが塞がれてしまうのでとても嬉しいアップデートです。

あとはこの薄さ・軽さの生地だと、重いものをハンドポケットに入れた際に生地が下に垂れ下がってしまう。ファストハイクやトレイルランニングなどハードに体を動かす人にとっては、やや気になる点だったと思いますが、胸ポケットによりその悩みも軽減されますね。

照井:たしかにそうかもしれません。胸ポケットならある程度体に近い部分に密着して収納できるので、そこまで収納物の揺れも気にならないのではないでしょうか。

・ベンチレーション、フロントスナップで体温調整が自在に

伊藤:もとより通気性のよい素材ですが、ベンチレーション機能が向上しているのも大きなポイントですよね。

照井:フロントのスナップボタンはまさに、ですね。フロントジップを全開にすると、風でバタついてしまうというお客様のお声を聞くこともありますが、これなら風のバタつきを抑えられます

伊藤:暑くなったら、胸ポケットも開けましょう。生地にコーティングをしている分、従来より通気性がやや劣りますが、それを補うために胸ポケットの内袋とマチの裏にメッシュを採用しているので。

照井:耐久性がアップしつつ、充実したベンチレーション機能によって細やかな体温調整も可能になっていますね!

・風、紫外線をしっかり防ぐフード

伊藤:本格的な山行では、フードの使用機会も増える。雨や日差しからしっかりガードしてくれるサンバイザーは、あるとないとでは不快感が全然違います。

照井:フードにドローコードも追加されていますので、フィット感も抜群です!

伊藤:そうそう。フィット感を調整できるようになり、首を振ってもしっかり追随してくれるので、着用時のつっぱりやズレによるストレスもありません

バイカラー以外のハイブリッドフーディの色展開はこちら。写真左、中央はメンズ、右はウイメンズ。いずれも¥24,200

ハイブリッドフーディは、本格登山をロスなくシームレスに楽しめる


2種類のPERTEX®︎ QUANTUM AIRによって耐久性が、ディテールの追加によって快適性が増したハイブリッドフーディ。具体的にどのようなシーンで使うのがおすすめでしょうか。

伊藤:一日の山行を、これまでより長いルートを引いて歩きたいという場合にその本領を発揮してくれるんじゃないかな。

たとえば速く、長く移動するようなファストハイクスタイルでは、逐一立ち止まっている時間の余裕はありません。バックパックからモノを出し入れしたり、暑さや寒さで服をいちいち脱ぎ着したりする時間が惜しいわけです。

照井:しかも山行が長くなれば、それだけ歩く道のバリエーションも多彩になりますよね。狭く険しい道や岩場では草木や岩の擦れが生じ、アップダウンを繰り返す度に生地の伸縮も多くなりそう。

伊藤:だからこそ、脱ぎ着せずとも体温調整ができ、そう長くは続かない雨ならそのまま歩き続けられて、それでいてタフな道も気兼ねなくガシガシ歩ける「ハイブリッドフーディ」は、ファストハイクや長期縦走の心強い味方となってくれると思います。

照井:本格的な山行中も“ずっと側にいてくれる”存在。従来モデルより、さらに山行をシームレスに楽しませてくれるのが、「ハイブリッドフーディ」の魅力でしょうね。

スタイルを選べる豊富なバリエーション

従来のコアエアシェルは、フーデッドジャケット¥19,250、ジャケット(メンズのみ)¥18,150、キャップ¥6,050、ショーツ¥14,300、シャツジャケット¥19,800を展開

最後に、従来の「コアエアシェル」で展開される豊富なラインナップをご紹介します。

伊藤:フーデッドジャケットは王道だと思いますが、それ以外のアイテムについてお客様からの評判はどうですか?

照井:メンズのみの展開ですが、風をはらまないフードなしのジャケットタイプはランナーやトレイルランナーに人気ですよ。

伊藤:たしかに。ヒップ側に備えられた大きめのポケットにモノを入れれば足上げの妨げにならないショーツも、ランナーは重宝しそう。

照井:そうなんです。「PERTEX®︎ QUANTUM AIR」は通気性だけでなく速乾性にも優れるので、キャップ然り、ハードなアクティビティを楽しまれる方から支持されています。あとは最近、山でシャツスタイルを好むハイカーが増えている背景もあり、ファッションとしても楽しみたいお客様がシャツジャケットを購入されることが多い印象です。

伊藤:スナップボタンでイージーに着脱できるし、これなら山だけでなく街と兼用もできる。ぜひそれぞれのスタイルや好みに合ったアイテムを見つけてほしいですね。

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マウンテンハードウェアの大人気シリーズ「コアエアシェル」はいかがでしたか? 「PERTEX®︎ QUANTUM AIR」の優れた機能を搭載したウィンドシェルは、とくにこれからの春夏シーズンでは心強い相棒となってくれるでしょう。

さらに充実したディテールやタフさを備えた新作「ハイブリッドフーディ」なら、ファストパッキングやロングトレイルといった本格登山も安心して挑戦できます。

ぜひ自身の登山スタイル、挑戦したい山行にピッタリの「コアエアシェル」を纏って、快適な登山を楽しんでください!

写真:上野 敦(プルミエジュアン)
原稿:平野美紀子
協力:伊藤伴さん、照井優名さん、コロンビアスポーツウェアジャパン

平野美紀子

編集・ライター

平野美紀子

編集・ライター

セレクトショップの広報からメンズファッション誌の編集者に転身。2021年に独立し、現在はライフスタイルやファッション、アウトドアなどさまざまなメディアやブランドコンテンツの編集、執筆を行う。趣味は登山・スノーボード。山好きが高じて、2023年は北アルプス・黒部五郎小舎のスタッフとして一夏を過ごした。編集ライターとして活動する傍ら、ドライヘッドマッサージのセラピストとしてサロンワークにも勤しむ。