上高地や穂高連峰など、名だたる北アルプスの山々への玄関口となる、信州松本。自然豊かな山岳都市というだけでなく、国宝・松本城の歴史を感じる城下町でもあり、登山の前後に個性輝くお店を巡るのも楽しい魅力のひとつです。
そんな信州・松本と東京・新宿を結ぶ高速バスに、お馴染みのYAMAPの赤いロゴのラッピングを施した「YAMAPバス」が登場。運行開始を記念し、松本在住のYAMAPスタッフ金子愛祐美が街の魅力と周辺の山々をご紹介します。
2024.06.21
金子愛祐美
YAMAP SNS担当
YAMAPバスを運行するのは、長野県松本市を拠点に、長野各地と三大都市圏を結ぶ高速バスや、「松本市民の足」である路線バスを運営するアルピコ交通。
公共交通機関を利用する登山者にとっても、北アルプスの登山口である上高地発着の「さわやか信州号」でお世話になったことがある人も多いのではないでしょうか。
JR新宿駅南口に隣接する巨大バスターミナル「バスタ新宿」と松本バスターミナルを結ぶ新宿松本線は、1日18~19便(※2024年6月現在)。そのうち、YAMAPバスが走るのは1日1往復です。
乗車できた方、運よくバスを見つけた方はかなりラッキー!バスを見つけたら、安全登山のお守りとして、ぜひ写真に収めてみてください。
松本は徒歩圏内に見どころが詰まった、コンパクト城下町。そこでおすすめなのが、登山口に直行直帰ではなく、登山と街観光を組み合わせた1泊2日の山旅です。
今回は、松本駅から直行バスで75分ほどで行ける日本百名山・美ヶ原へのハイキングとともに、地元民おすすめのお店で松本の魅力に触れるモデルコースをご紹介します。
朝6時5分、バスタ新宿から松本行きの高速バスに乗車。YAMAPバスに乗る前に、記念に後ろのYAMAPロゴの写真をパシャリ。
中央道の車窓からは、甲府盆地に入る手前から南アルプスの白峰三山(農鳥岳3,026m、間ノ岳3,189m、北岳3,193m)や八ヶ岳の美しい景色も楽しめます。
松本に到着したら、まずは腹ごしらえ。
駅から徒歩20分ほどにある「山山食堂」でいただけるのは、地元でとれたお米や野菜にこだわった朝ごはん。
「お米と味噌汁は大切にしなさい」
10年近く剱御前小舎の厨房で働いていたという、オーナーの高橋英紀さんは、そんな山小屋での教えを守り、できる限り炊き立てのごはんを出せるように心がけているそう。
シンプルながら、体が喜ぶ朝ごはん。食べ終えた後、なんだかいつもより元気に満たされているような。
朝はパン派の方でも、ご飯かトーストを選べるのでご安心を。剱御前小舎の親爺直伝という自家製ベーコンを使ったベーコンエッグもおすすめです。
「山山食堂」
住所:松本市大手5-4-25 List 1F
営業時間:水木土日7:00〜16:00・金7:00〜14:00/18:00〜21:00
朝ごはん 7:00〜10:30/昼ごはん 11:30〜
電話:0263-75-3508
Instagram @33shokudo
現存最古の五重六階の木造天守を持つ松本城へ。美しいお堀と雄大な城の姿は一見の価値あり。お天気がよければ、北アルプスの山々とお城が同時に楽しめる絶景スポット。
観覧料を払えば城内の見学も可能。大天守からは松本の街が一望でき、街とともにあるお城の長い歴史を感じることができます。
大正時代の蔵造りの建物が残る古い街並みの中に、おしゃれなカフェやギャラリーが点在する中町通り。
民藝の街でもある松本を代表する伝統工芸品「松本家具」や、職人の手で丁寧に作られた器などを手に取って、手仕事に宿る美しさ「用の美」を感じてみてはいかがでしょうか。
松本城や中町通りの周辺には、涼しげな湧水スポットが点在。美ヶ原などの山々から流れる伏流水が地中に蓄えられて湧き出す天然水で、環境省「平成の名水百選」にも選ばれた美味しいお水です。
マイボトルを持参すれば、自由にお水を汲むことができます。松本市民にとっては、この湧水でお米を炊いたり、コーヒーを入れたりするなど、生活に欠かせない自然のめぐみ。ぜひ、みなさんも余計なものが入っていない清らかなお水を味わってみてください。
場所によって少しずつ味が違うので、数カ所巡って味わいを楽しむのがおすすめです。
東門の井戸(左)は、かつての松本城の東門の跡地に位置し、周辺には美味しい居酒屋さんなどが並びます。
女鳥羽の泉(右)は、隣接する善哉酒造の敷地内から湧いており、この湧水を使用して作られた日本酒も好評。山山食堂のすぐ隣にあります。
松本市公式観光情報:まつもと水巡りを見る
「長野名物・牛乳パンが人気」 小松パン店
長野のご当地パンといえば「牛乳パン」。たっぷりのミルククリームがふんわりと
したパンにサンドされ、まさに幸せのかたまり。
大正11年創業の老舗「小松パン店」では、クリームに洋酒を使用し、口溶けの良さも抜群。甘くてハイカロリーですが、山歩きのお供にはうってつけ!人気で売り切れる場合もあるため、前日までに電話予約が確実です。
「小松パン店」
住所:松本市大手4丁目9−13
営業時間: 10:00〜18:00 日/祝日/第1第3第5月曜休み
電話:0263-32-0172
「おやきで一息。」カレーとおやき 音楽喫茶室something tender
信州といえばおやき!ここでは変わり種の「ニューウェーブおやき」が楽しめます。中でも意外な定番は、看板メニューのカレーを使用した「キーマカレーおやき」。
実はカレー激戦区の松本でもファンが多い、スパイス薫る本格的なカレーを味わってみてください。ほかにも、夏は野菜たっぷりのラタトゥイユ、秋はりんごや栗など地元の旬の食材を使った季節のおやきも絶品。
「音楽喫茶室something tender」
住所:長野県松本市大手4丁目8−21
営業時間:不定休 Instagramからご確認ください。
電話:0263-88-8861
Instagram @somethingtender.newwaveoyaki
「お土産はやっぱり山道具?」CLAMP松本母屋
ガレージブランドのアイテムを中心に、機能的でおしゃれな山道具がたくさん。気さくで知識豊富な店員さんに相談しながら、つい買ってしまう魅惑の場所。遠方から登山前後に立ち寄る方も多いそうです。
「CLAMP松本母屋」
住所:長野県松本市旭1丁目1ー20和泉町伍蔵母屋2階
営業時間:10:00〜18:00 木曜定休日
電話:0263-31-3368
Instagram @clampmatsumoto
2日目は松本駅から午前中の直行バスに乗り、日本百名山・美ヶ原へ。約600ヘクタール、東京ドーム約130個分の広大な草原と高山植物、そして放牧された牛たちが出迎えてくれます。心地よい風を感じながら雄大な自然を満喫しましょう。
詩人・尾崎喜八の『美ヶ原溶岩台地』の詩が刻まれた美ヶ原のシンボル・美しの塔が立つメインコースはほぼ牧場内を歩く道。レンゲツツジの群生地(例年6月下旬〜7月上旬)は見どころのひとつ。
「40座を超える日本百名山が望める」といわれ、天気がよければ、高原全体から北アルプスや八ヶ岳をはじめとする山々を眺めることができます。
より良い眺めを楽しむなら、最高峰の王ヶ頭(2,034m)や、高原西端にある王ヶ鼻(2,008m)まで足を伸ばしてみましょう。
最高峰の王ヶ頭への周回コースは往復1時間30分ほど。起伏の少ない高原ハイクでビギナーでも安心。もう少し歩きたい人は、麓の三城牧場から5時間ほどかけて高原へ登る百曲がりコースもおすすめです。
コース定数:6(※コース定数について)
コースタイム:1時間36分
歩行距離:4.2km
累積標高差(上り):176m
累積標高差(下り):176m
夏季限定で、松本駅と美ヶ原自然保護センターを結ぶ直行バスが運行しています。事前予約が必要で、松本駅発と美ヶ原自然保護センター発ともに午前中と午後に1便ずつしかないため、時間にはお気をつけください。
時刻表
*2024年6月末時点。公式サイトで予約の際にご確認ください。
公式サイトで予約する:信州美ヶ原高原直行バス
松本市内には浅間温泉と美ヶ原温泉の2つの温泉街があります。いずれも無色透明でさらっとしたお湯が特徴。日帰り入浴施設に立ち寄れば、心も体もさっぱりリフレッシュできること間違いなし。
信州美ヶ原高原直行バスの途中停車駅でもあり、松本駅からも車で15分ほどなので、時間に余裕があれば足を伸ばしてみましょう。それぞれの温泉街にある、温泉付きの宿泊施設に宿泊するのもおすすめ。
充実した旅の思い出を振り返りながら、新宿行きのバスに乗り帰路へ。おつかれ山でした。
松本は美ヶ原の玄関口だけではありません。北アルプスの絶景を手軽に楽しめる場所から、北アルプス入門に最適な初級者向けの山まで、松本駅からのアクセスとともに紹介します。
雄大な自然景観で知られる言わずと知れた名所。川沿いのハイキングと穂高連峰の美しい姿を楽しめます。
アクセス
松本駅松本電鉄上高地線ー新島々駅ー路線バス(またはタクシー)で上高地まで1時間30分ほど
アクセス
松本駅松本電鉄上高地線ー新島々駅ー路線バス(またはタクシー)で乗鞍高原観光センターー乗鞍高原~乗鞍畳平シャトルバスで乗鞍山頂(畳平)まで2時間30分ほど
松本市と岐阜県高山市にまたがる日本百名山の一峰。標高2,702mの畳平までエコーラインとスカイラインの車道が通じており、わずか1時間半ほどで山頂に立てる手軽さながら、山頂からは北アルプスの山々を一望できる魅力的な山。
アクセス
松本駅JR大糸線ー穂高駅ー季節運行バス(またはタクシー)で中房温泉登山口まで2時間30分ほど
花崗岩による白い山体とコマクサの群落が美しい山。登山道は整備されており、初めての北アルプス登山にもおすすめ。合戦小屋のスイカや、燕山荘のケーキなどお楽しみの名物グルメも豊富。
YAMAPバスの運行は11月頃まで。今後は、松本周辺を巡るYAMAP TRAVELのツアーやYAMAPバス限定で配布するリーフレットなども企画していきます。ぜひこの夏は、アルピコ交通のYAMAPバスに乗って信州松本の山旅をお楽しみください。
協力:アルピコ交通株式会社
撮影協力:大西宏樹/水落雅周/齋藤光馬