赤城山(1,828m)は標高 1,828mの黒檜山(くろびさん)を主峰に、ほか6つの山からなるカルデラ湖を含む複成火山。日本百名山、関東百名山、上毛三山(じょうもうさんざん)に数えられる名峰です。
登山初心者から中級者まで楽しめる豊富な登山コースがあり、四季折々の魅力を満喫でき る人気の山。
初心者はもちろん、友人・知人を連れていきたい経験者におすすめコースについて、登山ガイドの上田洋平さんが厳選して解説します。
2024.06.30
上田洋平
登山ガイド
①花のシーズン、紅葉、雪山と1年を通じて楽しめ、コースもバリエーション豊富
②妙義山、榛名山と合わせて上毛三山と呼ばれる、群馬県を代表する山
③山頂まで標高差500mのところまで車でアプローチでき、短時間で絶景に到達
赤城山は、最高峰である黒檜山(くろびさん)を主峰に、駒ヶ岳(1,685m)、地蔵岳(1,674m)、荒山(1,571m)、鍋割山 (1,332m)、鈴ヶ岳(1,564m)、長七郎山(1,579m)からなる日本百名山。
群馬県前橋市・渋川市・沼田市、桐生市、みどり市、昭和村にまたがり、山の基底部の直径は 20〜30km に及び、裾野の面積は富士山に次いで日本で2番目の広さを誇ります。
黒檜山(くろびさん)は標高1,828mですが、車で標高1,350mまでアプローチできるので、標高差500mとなり、比較的短時間で登れます。
登山口付近にある県立赤城公園内「おのこ駐車場」にトイレや売店があるため、初心者が不便な思いをして山から遠ざかってしまう心配もありません。
登山コースが複数あり、初心者から中級者まで楽しめますが、逆にどの道がよいのか分かりづらいことも。そこで、登山ガイドの上田洋平さんに、赤城山最高峰の黒檜山を登るコースのうちから2コースに絞り、魅力別に紹介していただきました。
①車なら1,350mの登山口までアプローチ可能
②急登が続く登山道
③途中には大沼を一望できる展望ポイントも
コース定数:10(コース定数とは?)
コースタイム:3時間
歩行距離:2.6km
累積標高差(上り)468m
累積標高差(下り)468m
車の場合は黒檜山登山口付近の駐車場、路線バスの場合は「おのこ駐車場」から県道251号線を北側へ向かって歩くと、右手側に黒檜山登山口があるので、ここから登山開始です。
登山開始直後から急登が続くので、ストレッチで体をほぐしておくとよいでしょう。
最初はペースが上がりがちですが、後でバテないようにスタート直後は抑え気味で登ります。
「黒桧山(くろびさん)大沼(おの)」の標識からさらに登ると、大沼を見下ろすことができる好展望地に出ます。
大沼の奥に見えるのは赤城山の一つである地蔵岳です。
さらに進むと「猫岩」の標識ポイントへ。
猫岩は標識の奥にある岸壁の形が猫のような形をしていることから名付けられたため、登山道上からは見ることができません。
大沼のほとりにある赤城神社から眺めた猫岩の形です。
これだと少し分かりにくいかもしれませんが、
オレンジ色で囲ってみると、岩が猫の顔のようになっているのが分かるでしょうか。
猫岩を過ぎるとまたしても急登が続きます。
途中には天気がよければ富士山が見られる展望地があります。
空気の澄んだ冬の場合、大沼の上に見える地蔵岳(アンテナが建つ山)の左奥にうっすらと雪をまとった富士山が見えます。
さらに登ると駒ヶ岳との分岐があり、黒檜山山頂方面へゆるやかな道を進めば山頂に到着。
山頂からは展望はありませんが、5分程度進むと絶景スポットがあります。
休憩するのに適した「天空の広場」。
谷川連峰、上州武尊山、至仏山から日光白根山、皇海山、男体山まで見渡せます。ただし風が強いときは、樹林で囲まれた山頂まで戻って休憩するのがよいでしょう。
下りは往路を戻って黒檜山登山口へ。やや疲れが出てくるときですし、急登が続く道なので慎重に下りましょう。
大沼のほとりには「おのこ駐車場」があり、水洗トイレがあります。山中にはトイレは無いため、注意して下さい。
①赤城山の主峰2座をコンパクトに周回できる
②駒ケ岳から南側へ下る尾根からの展望は抜群
③周回コースなので車でアクセスした場合も戻れる
コース定数:13(コース定数とは?)
コースタイム:3時間30分
歩行距離:5.0km
累積標高差(上り):563m
累積標高差(下り):563m
スタート地点は県道251号線沿いにある「あかぎ広場前バス停」。
ここからしばらく道路を歩きます。
県道251号線を道路沿いに北へ進み、黒檜山登山口へ。
ここから山頂までの道のりはコース①「黒檜山登山口発着|黒檜山往復コース」を参照して下さい。
黒檜山山頂からは、山頂南側にある駒ケ岳分岐を南へ進み、黒檜大神と書かれた鳥居を過ぎると、木段の下りが始まります。
大ダルミまでかなり下っていきます。
大ダルミまで下ると下りは一段落。ここから駒ケ岳への登り返しが始まります。
登り返しは階段が続くので、ペースを上げすぎないように登ります。
赤城山の駒ケ岳山頂。天気がよければ、桐生市やみどり市方面を見下ろすことができます。
駒ケ岳からの下りの道も、市街地を見下ろしながら絶景の尾根歩きを楽しめます。
尾根歩きの途中、小沼(この)も見れます。小沼の左側は手前側に小地蔵岳、奥が長七郎山です。
さらに進むと分岐になり、右側の鉄階段を下ります。
鉄階段を下った後は、急登のジグザグ道を下っていく。
駒ケ岳登山口へ到着。ここから道路を歩いてスタート地点である、あかぎ広場駐車場へ戻ります。
装備について詳しく知る:「まず揃えたい山道具の基本6アイテム|登山装備のチェックリスト」
大沼のほとりには「おのこ駐車場」があり、水洗トイレがあります。山中にはトイレは無いため、注意して下さい。
山頂付近は座るのに適した岩があり、樹林帯に覆われているため、強風の日でも比較的風の影響を受けずに休めます。
山頂からさらに5分ほど進んだところにある天空の広場は絶景ポイント。
西側の開けた場所からは谷川連峰・上州武尊山・至仏山が、北東方面は日光白根山・皇海山・男体山を見渡せます。
おのこ駐車場にあるお土産屋「湖山」の前に自販機があります。
大沼湖畔にある飲食店で、赤城ポークのヒレ肉を使用したソースかつ丼が有名。
明治8年(1875年)創業の老舗旅館。ワカサギ定食や山菜そば、うどん、カツカレー等を食べれます。
詳細はこちら:青木旅館公式サイトを見る
赤城山の南麓には良質の温泉が周りに多くあります。
下山後にお風呂で山の汗を流せば、最高の休日が出来上がります。
道の駅に隣接しており、大浴場から前橋の夜景を望める日帰り温泉。
食事処もあるため、入浴後に地元の食材を使った料理を味わってみてはいかがでしょうか。
詳細はこちら:公式サイトを見る
関越自動車道「渋川伊香保IC」の近くにあり、車で来た場合は帰り道沿いになる便利な場所にある温泉です。
前橋市の夜景を見渡すことができる露天風呂は一度入る価値があります。
詳細はこちら:公式サイトを見る
東京駅から新幹線で高崎駅へ。高崎駅では両毛線に乗り換えて、約15分で前橋駅
前橋駅からは、関越交通バス赤城山線で約70分「あかぎ広場前」下車
関越自動車道「前橋」ICから国道17号線、県道4号線経由で大沼湖畔の「おのこ駐車場」まで約1時間。
駐車場は、おのこ駐車場か、あかぎ広場駐車場を利用(無料)
赤城山(黒檜山)を登る際には、以下のような装備が必要です。
登山靴:
登山靴はソールが滑りにくいことをチェックして下さい。
登山靴について詳しく知る:足の疲労度が変わる!登る山をイメージして登山靴を履き分けよう
服装:
季節に応じた防寒・防水・通気性のある服装を用意しましょう。
肌着には速乾性の高いものを。急な天候変化に備えて、防風・防水のレインウェアも必要です。
服装のレイヤリングについて詳しく知る:基本6アイテムを活用した、1日のシーン別レイヤリングをご紹介|登山装備のチェックリスト
ザック(バックパック):
水や食料、着替えなど必要なものを入れるためのザック(バックパック)。雨の日でなければ、ご自身が持っている旅行用のリュックサックでもよいでしょう。
ザック(バックパック)について詳しく知る:登山用バックパックの選び方を徹底解説|「どれがいいかわからない」に終止符を
水筒:
季節にもよりますが、1L程度を準備しましょう。赤城山の山中には売店は無いため、少し余裕をもった量を持っていくとよいでしょう。
水筒について詳しく知る:登山用水筒(ボトル)を3タイプで解説|自分にぴったりな一本を見つけよう【山登り初心者の基礎知識】
行動食:
エネルギー補給のために、栄養価の高い軽量な食料を用意しましょう。ドライフルーツ、ナッツ、チョコレート、スポーツドリンクなどが適しています。
行動食について詳しく知る:山でバテない行動食の選び方とポイント|山のお悩み相談室 Vol.2
GPSアプリ・地図:
道迷いしないように、登山GPS地図アプリ「YAMAP」と地図をインストールしたスマートフォンで、事前にコースを確認しておくことも重要。GPSアプリを使う場合、バッテリーが減った場合に備えてモバイルバッテリー(容量10000mAh程度)も用意しましょう。
登山地図GPSアプリについて詳しく知る:登山地図GPSアプリの活用法をガイドが解説【山登り初心者の基礎知識】
ヘッドライト:
日帰り登山であっても、怪我などのトラブルがあった場合、予定通り下山できずに日没を迎える可能性があります。その場合に備え、ヘッドライトを準備して下さい。
ヘッドライトについて詳しく知る:登山用ヘッドライトの選び方|日帰り登山でも必要なアウトドアの必需品【山登り初心者の基礎知識】
あると便利なもの:
手袋、帽子、サングラス、日焼け止め、ストック、防虫スプレー、タオル、救急セットなど、そのときの天気などに応じて用意しましょう。
手袋について詳しく知る:登山用グローブの悩みを解消! 理想の一双が見つかる選び方を徹底解説
サングラスについて詳しく知る:目の日焼けが体力を奪う原因に! 登山の紫外線対策に必須のサングラスを正しく選ぼう
事前にしっかりと準備し、安全に登山を楽しんでください。
執筆・写真協力:登山ガイド・上田洋平