秋の登山シーズンが到来! 気温や天候など様々な変化がある秋山を歩く際に困ることのないよう事前に秋山に持っていくべきアイテムを確認しておきましょう。教えていただいたのは、登山ガイドの岩田京子さん。各アイテムが秋山に必要な理由も含め、しっかりチェックを。
秋山登山を安全・快適に楽しむための注意点 #02/シリーズ一覧はこちら
2020.10.19
岩田 京子
登山ガイド
夏が終わり、台風シーズンを経て秋になると、倒木や落枝でルートが塞がれたり、落ち葉が増えて登山道が不明瞭になったりして山の様相が変わり、ルートミスをしやすくなるため遭難事故が多くなります。
一度登ったことがあるコースでもシーズンが変わると道に迷いやすくなるのはそのためです。
そこで、秋の登山時に徹底しておきたいのが、登山コースの事前シミュレーション。
分岐点から分岐点までのコースタイムを地図に記載しておいて、予定どおりに着いているかを逐一チェックしましょう。もちろん、登山アプリ「YAMAP」を活用してもOKです。
また、コースタイム以外にも、現在地を確認しやすい地形や迷いそうなポイントなども事前にチェックしておくと現地で焦ることが少なくなりますよ!
上述したように、秋山は紅葉が楽しめるぶん、上に目が行きがちですが、実は落ち葉が増えることで足元が滑りやすくなるのです。
勾配はもちろん、段差があって湿った場所に落ち葉が積もると、とくに滑りやすくなるので要注意。そこで必要になるのが、ストックです。
ストックは2本で使う人もいますが、必要に応じて1本使いでもOK。
登山コースによっては平坦な道が多かったり、木の根が多かったり、起伏の多いルートもあります。また、道が狭いルートや岩場などでは手を使った方がいい場所もあるので、必要に応じて判断し、活用してみてください。
秋山では天候が変わりやすく、季節は下界よりも進んでいます。思った以上に気温が低い、風が冷たいと感じられるものです。
行動中は動いているので体温が上がりますが、休憩中のほんの束の間に風に当たるだけでも汗が冷えて、あっという間に体が冷えてしまうことも。
そんなときにすぐに着られるように、ザックの取り出しやすいところに雨具の上下を用意しておきましょう。
雨具は、一年中どんな天候の時も、どんな山行の時も、山に行く際に持ち歩くのが基本。
雨天以外でも、風を防ぎたい時や体温を逃したくない時などにも活躍してくれますので、性能にこだわらず、柔軟な発想で活用してみてください。
※秋山にふさわしい服装については、別記事)秋の登山、服装選びに迷ったら? レイヤリングの基本と秋ならではの注意点をチェック。
まだ冬の手前である秋山とはいえど、寒さ対策は侮れません。北アルプスなど山によっては、9月に雪の予報があるほどです。
頂上に近くなるにつれて高度が上がると、気温が下がり、気づかないうちに体が冷えてしまうことがあります。
冷え予防には、「手首」や「首」、「足首」のいわゆる“3首”を温めるのが有効です。
とくに手指の冷えは敏感に察知する必要があります。というのも、一旦手が冷えきってしまうと、何をするにも億劫になり、行動が遅れてしまいがちだからです。だからこそ、手が冷えてきたなと感じたら、まずは手袋をして手元や指先を温めましょう。
そして体全体が冷える前に、ネックゲイターで冷気や風の侵入を防ぎ、首回りを温めること。帽子をかぶれば、頭部や耳元も温かく保つことができます。その時々で必要に応じて防寒小物を活用してください。
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山での行動の遅れは命とり。秋山での事前の装備のポイントをおさえて、「秋冷え」「遭難」「ケガ」を防止する対策をとりましょう。
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編集協力/EDIT for FUTURE 写真/駒田達哉