登山の帽子の選び方|素材、季節・天候別のポイントをガイドが解説【山登り初心者の基礎知識】

登山の服装・持ち物準備において、ともするとついつい後回しになってしまいがちな「帽子」。登山中は基本的に外で過ごす時間が長いため、帽子は必須のアイテムです。登山シーンを安全で快適なものにするための、帽子の5つの役割と選び方についてまとめました。

2024.05.07

YAMAP MAGAZINE 編集部

INDEX

登山に帽子はなぜ必要? 大事な5つの役割

登山用の帽子の主な役割は以下のとおり。

① UVカット|日差しや紫外線から頭部を守る
標高が高いほど強くなる紫外線量に対する、日焼け防止と熱中症予防に役立つUVカット機能。

② 吸汗速乾性|水分を吸収して蒸れを防ぐ
頭部にかいた汗が、顔や目、背中に流れて入らないように、汗を素早く吸い上げ、放出する機能。

③ 防風・防水性|風や雨から頭部を守る
標高による温度変化や風による体感温度の変化、頭部が雨に濡れたときの体温低下を防ぐ機能。

④ 保護|頭や顔をケガから守る
登山道にある木の枝や幹、岩からの保護と、転倒による頭や顔のケガをから守る機能。

⑤ 保温性|寒さから身を守る
山麓と稜線の寒暖差から起こる体温変化に対応するため、頭から保温して体を温める機能。

こうして並べてみると、どれも登山を安全・快適に楽しむうえで大切になる要素ばかり。登山中の暑さ寒さに雨風、紫外線。さらには落石や木の枝、転倒による頭部の負傷リスクなど、あらゆる場面で重宝するアイテム、それが登山用帽子なのです。

登山用帽子の選び方|ポイント① 基本の3種を知る

まずは登る山の季節により、選ぶ素材や種類を替えること、視界が妨げられないか確認することなど、帽子を選ぶための大切なポイントがいくつかあります。

登山用帽子は主に3種類。日差しや雨から守れる「ハット」、上からフードをかぶりやすい「キャップ」、寒さ対策に役立つ「ニット帽」に大別できます。それぞれの特徴を知り、自分にぴったりな帽子を選びましょう。

日よけ効果抜群の「ハット」

360度つばがある「ハット」は、日よけ効果が抜群。逆につばがしっかりとあることで視界が見えずらいと感じる人には、つばが短めのものがおすすめ。紫外線が気になる場合はUVカット素材を選びましょう。

「素材」という切り口では、

⚫︎ 吸水速乾性に優れた「ポリエステル」
⚫︎ 防水耐久性・透湿性・防風性を兼ね備えた「ゴアテックス」
⚫︎ 防風性の高い「ナイロン」

などが挙げられます。

夏は吸水速乾性のよいものを、冬は暖かい素材を選ぶとよいでしょう。ゴアテックス素材の帽子なら、ちょっとした雨でも安心。コットン素材は汗をかいても乾きにくいので、避けるのがベターです。

ほかにも、たたんでコンパクトになるものや、型崩れしにくい丈夫なもの、ちょっとした雨を弾く「撥水性機能」やゴアテックスに代表される「防水透湿機能」が付加されたものなど種類は豊富です。

さらに、登山中は風の影響で帽子が飛ばされてしまうこともあるため、あご紐が付いているタイプを選んでもいいでしょう。

上からフードを被りやすい「キャップ」

まず、キャップは正面だけにつばがあるので、ハットと比べると風の影響を受けにくいという特徴があります。また、レインウェアやアウターのフードを被る際にキャップならいちいち脱がなくて済むという利点も。ヘルメットが必要なシーンでも、すでに被っていた帽子を脱ぐことなく上からそのまま被ることができるのは、なかなかに便利です。

つばが正面にしかない分、視界が広く確保できる反面、顔の横や首の後ろに日陰ができません。山の紫外線は平地よりも強いため、日焼け・熱中症対策として、キャップの後ろにシェードを取り付けると安心です。

ハット同様に様々な素材があるので、季節や利用シーンに合わせて最適なものを選びたいところ。夏は吸水速乾素材やメッシュ素材など「通気性」を重視し、冬は暖かい素材で作られた耳当て付きのものなどを選ぶといいでしょう。

寒さ対策に役立つ「ニット帽」

寒い冬や春先に便利な、ニット帽。強風でも吹き飛ばされにくく、上からフードも被りやすいため寒い季節は重宝します。日差しが気になる人は、つば付きのニット帽がおすすめ。風を通しにくい素材を選んで、防寒対策をしましょう。

ニット帽の主な素材は、ウール、ポリエステル、フリースなど。ウール素材は保温性が高く、防臭効果もあるのでおすすめです。冬山でも晴れていたり活動量が多かったりすると汗ばむこともあるため、ムレによる不快感を軽減したい場合は、通気性を考慮した商品を選ぶといいでしょう。

登山用帽子の選び方|ポイント② サイズ感をチェック! コーデのワンポイントとしても

引用元:YAMAP STORE

登山用帽子を選ぶ際にもう一つ大事なポイントとなるのが、「自分の頭のサイズに合わせて選ぶ」ということ。当たり前に思えることですが、小さすぎると頭が圧迫され、大きすぎると風で飛ばされる可能性があります。ぜひ可能な範囲で試着をして、自分のサイズに合ったものを選ぶことをおすすめします。

また、最近は「山に登るときもおしゃれをしたい」というニーズの高まりからか、機能性に加えてデザイン性をより重視した帽子が増えてきました。帽子はコーディネートのワンポイントにもなるため、種類を揃える楽しさも。機能性も大事ですが、デザインも大事。迷ったときには、自分の感性に合ったデザインのものを選びましょう。

お気に入りの帽子で、いざ山へ!

安全・快適な登山をサポートしてくれる帽子は、必須アイテムとして持っておきたいところ。季節や行き先(登る山)、その日の天候や気温など、目的とコンディションに応じた帽子を選び、山を、自然を楽しみましょう!

執筆協力=上川菜摘、野々下桂子

YAMAP MAGAZINE 編集部

YAMAP MAGAZINE 編集部

登山アプリYAMAP運営のWebメディア「YAMAP MAGAZINE」編集部。365日、寝ても覚めても山のことばかり。日帰り登山にテント泊縦走、雪山、クライミング、トレラン…山や自然を楽しむアウトドア・アクティビティを日々堪能しつつ、その魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと奮闘中。