親子登山の様子を、愛らしいイラストで綴る人気インスタグラマーのヤマガスキナダケさんの連載「今日もコドモと山にいます」。編集部に寄せられる親子登山や子育ての質問に、ヤマガスキナダケさんがお答えします。今回は親子登山をする者ならば誰しもが一度は途方に暮れたことがある「子どもが途中で退屈しちゃう問題」。子どもが飽きてしまうと親子間のコミュニケーションもどんよりしたものに…。そんな事態に陥らないためのアイデアをお聞きしました。
今日もコドモと山にいます|親子登山のあれこれをヤマガスキナダケさんが指南! #04/連載一覧はこちら
2020.08.13
ヤマガスキナダケ
会社員イラストレーター
※山では周囲の状況をよく確認して遊ぶようにしましょう
我が家の親子登山は歩いている時間より遊んでいる時間の方が多いんです。その間、子どもは何をしているかと言えば、基本的には好きなようにさせてます(笑)。
子どもは、山みたいに何もない所だとすぐに飽きてしまうんじゃないかと心配しがちですが、案外自分で楽しみを見つけて、一人で黙々と遊んでいるんです。
親が休んでいる間、息子は見えない何かと闘っている
我が家も親子登山を始めた当初は、山に連れ出すために色々なものを用意して子どもを誘っていました。
好きなお菓子だったりUNOだったり、景色の良いとこだと双眼鏡を持っていったり。時には重いラジコンを背負っていったりと色々試していましたね 。特に我が家ではお気に入りのぬいぐるみを持っていくことも多かったです。
お気に入りのぬいぐるみの絶景撮影会
UNO登山は比較的長く続いた山の遊び。不思議なことに家では滅多にしない
それはそれで楽しかったし、子どもを山へ誘い出す良いキッカケにはなりました。でも、ほとんどの場合、飽きて長続きしないし、子どもから「このおもちゃ持っていきたい!」とリクエストされることもありませんでした。
最初の頃は子どもを山に誘うのに遊び道具の効果は大きかったし、子どもを山に慣れさせられたという意味ではその苦労は無駄ではなかった気もします。
うちの子の場合、いつの間にか持って行った遊び道具そっちのけで、落ちている棒や木の実や葉っぱ、石なんかを使って遊ぶようになってました。
いつも見ている苔やマツボックリに表情を。嵐のように一瞬で過ぎ去った我が家の遊び
小枝と落ち葉で作った「リスの家」。入るかどうかは別としてその発想力が素晴らしい
歩いてる時も休憩場所に着いても、知らない間にどこかで拾った棒を手にしてる。休憩中は石を集めたり、虫を追いかけたり木に登ったり、黙々と夢中で遊ぶことが多くなりました。
良い感じの小枝が揃えば不毛な戦いがいつも始まるのである
そして気に入った木の棒や木の実、石なんかを毎回持って帰りたがるくせに、家に持って帰ったら驚くほど興味無くしてゲームしてる(笑)。
お気に入りなのは分かるが、石を持って帰るのはお断りした
きっと子どもは山と家で、遊び方を切り替えてるんですね。子どもなりに山に入れば山の楽しみ方をちゃんと発見できるのだと思います。
親が飽きさせないようにあーだこーだと頭を捻っているうちに、子どもは「山にあるものでどう楽しむか?」を即座に見つけ出す柔軟な発想力を身につけてたようです。
大人が気を使って何かを用意するよりも、子どもは彼らなりに山に入れば山を楽しむので、安全に気をつけながらも少し放っておくくらいでちょうど良いんだと気付きました。「子どもってどこでも楽しめるんだ!」と分かった頃から、山全体が巨大な遊び場だと思えるようになってきたんです。
足元に咲いた山の魅力を写真に保存。のんびり待ってあげるのも親のつとめ
山にあるものひとつひとつが遊び道具になるなら余計な荷物も減らせるし、山頂にこだわる必要もない。
時間にも体力にも余裕が生まれてからは山の隅々まで楽しめるようになり、より山の魅力を感じることができた気がします。
のんびりしたい時間を逆算する登山が我が家のスタイル
奥に見える山頂より遊びを優先
以上、我が家の“山遊び”についてお話ししましたが、参考になりましたでしょうか…(汗)。
飽きさせないように何かを持っていくのではなく、子どもを不便な自然の中に放り出してみて山で見るもの、聞こえるもの、触れたものだけでどう楽しめるか?を工夫させる。
子どもは親が思うよりも柔軟な想像力で色々な遊びを発見するものです。想像力を養うため、遊びを見つけに行くつもりで山に登ってはどうでしょうか?
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