水の恵みを肌で感じる「渓谷×山歩」で最高の癒しと絶景をチャージ！

山歩（さんぽ）とは、都会から少し足を伸ばすだけで出会える自然を、無理せず自分のペースで歩きながら楽しむこと。長距離移動の大旅行ではなく、思い立ったらすぐに出かけることができるプチトリップです。ふと予定が空いた休日や天気が良い日は絶好の山歩日和。手持ちの歩きやすい服装と履き慣れた滑りにくい靴があれば準備OKです。

今回ご提案するのは、より絶景と癒しを楽しむことができる「渓谷山歩」。豊かな日本の森林に育まれた清流を間近で感じる渓谷は、山歩にぴったりの場所なのです。苔むした岩や神秘的な色の水をたたえた瀬・淵・滝などが織りなす非日常の空間は、夏には涼をもたらし、秋には周囲の木々が鮮やかに色づいて目を楽しませてくれます。

なお、今回の山歩道選定の目安は以下の通りです。

・歩行時間：3時間以内
・歩行距離：5km以内
・上り累積標高差：400m以下

これは、ハイキング初心者でも無理なく気軽に歩ける数値。これから山や自然の中で遊びたいと思っている人にもぴったりです！

※一部、上記目安を超えるコースもあります。
※自然災害の発生などにより、現地の登山道や遊歩道、交通機関が通行止めになる場合もあります。お出かけ前に現地の最新情報を確認するようにしましょう。

【乳岩峡】国の名勝・天然記念物の渓流で奇岩や洞窟もめぐる｜愛知・新城

ハシゴや階段を登っての奇岩めぐりはまるでアトラクション

乳岩峡（ちいわきょう）は、渓谷美と奇岩が織りなす絶景を楽しむことができる人気のスポット。この地のシンボル的な存在であり、見どころの一つでもある「乳岩洞窟（鍾乳洞）」の天上部には、乳房状の鍾乳石が形成されています。これは凝灰岩（火山灰が固化してできた岩石）の中に含まれる石灰分が溶け出したもので、地名の由来となっているそう。

乳岩洞窟の他にも、「通天門」と呼ばれる天然の石門や、巨岩の隙間を縫うように進む「通天洞」など、見どころがずらり。これらをめぐるには、鉄製の階段や急なハシゴを登り降りする必要がありますが、そのスリルを補って余りある充実感を得られることでしょう。ただし、こうした場所での行動は慎重に。雨などで滑りやすい場合には、特に注意が必要です。

澄み渡った水に癒される清流沿いの山歩道

スリリングな階段やハシゴが連続するのは渓谷の奥にある乳岩周辺のみ。渓谷入口からしばらくは、清流に沿ったゆるやかな山歩道が続きます。水辺近くまで下りられる場所もあり、澄み渡った水の潤いを間近に感じ取ることができますよ。透明度の高い水の流れを見ていると、日常に疲れたココロまで浄化されそうです。

コースの歩行時間・歩行距離・アクセス

・歩行時間：2時間10分
・歩行距離：5.2km
・上り：302m
・アクセス
車で：新東名道・新城インターチェンジから小滝橋駐車場まで約30分
・コースを詳しく見る

【阿寺の七滝】日本の滝百選にも選定された名爆をめざす水辺の山歩道｜愛知・新城

七段にわたって流れ落ちる優美な滝は国の名勝・天然記念物

日本の滝百選のうち、愛知県内で唯一選定されているのが、阿寺（あてら）の七滝。岩肌を七段の階段状に流れ落ちる落差64mの優美な滝です。滝の下の石は「子抱き石」と呼ばれ子宝を授かるといういわれや、陰陽師・安倍晴明が若き日に修行したという伝承も残されています。

滝へと続く歩きやすい山歩道沿いには河鹿渕・乙女滝などの名所もあり、阿寺の七滝左側の階段を登ると子抱き観音が祀られています。この階段からは滝を上から見下ろすこともできますよ。

珍しい甌穴（ポットホール）も探訪！

阿寺の七滝は中央構造線という断層にかかることから、地質学的にも興味深い場所として知られています。特徴的なのが2段目、5段目の滝壺にある甌穴（おうけつ・ポットホール）。滝壺に入った石が水流で回転して周囲の岩を削り取ってできた円形の穴は、長い年月をかけて生まれた自然の造形美です。

コースの歩行時間・歩行距離・アクセス

・歩行時間：50分
・歩行距離：1.9km
・上り：80m
・アクセス
車で：新東名道・新城インターチェンジから阿寺の七滝駐車場まで約25分
バスで：JR飯田線・本長篠駅から七滝口バス停までSバス秋葉七滝線で約25分
・コースを詳しく見る

【多良峡】吊橋を渡ってウッドチップの道を歩く大垣市の憩いの森｜岐阜・大垣

幅広い世代が楽しむことができる森林公園を山歩しよう

揖斐川の支流である牧田川にある多良峡は、大垣市多良峡森林公園として整備されており、大人から子どもまで幅広い世代が歩きやすい山歩道が整備されています。玄関口となるのは長さ72mの吊橋で、ここから見下ろす多良峡の流れは絶景です。

吊橋から延びる林内遊歩道はウッドチップ舗装された歩きやすい道で、広場や休憩棟も設置されています。河原へと下りることもでき、吊橋を見上げたり、清流を間近に見たりなど、変化に富んだ景観を楽しむことが可能です。

山歩の後も家族で楽しめる！ かみいしづ緑の村公園

多良峡がある大垣市上石津町のもうひとつのおすすめスポットが、かみいしづ緑の村公園です。屋根付きバーベキューハウスやデイキャンプ施設でくつろいだり、アスレチック・釣り・サイクリング・インラインスケート・ストライダーで遊んだりと、家族の休日がより充実すること間違いなしです。

コースの歩行時間・歩行距離・アクセス

・歩行時間：2時間30分
・歩行距離：4.3km
・上り：388m
・アクセス
車で：名神道・関ヶ原インターチェンジより多良峡林間広場駐車場まで約15分
・コースを詳しく見る

【付知峡】御嶽山系からの雪解け水が織りなす美しい清流｜岐阜・中津川

澄み渡るエメラルドグリーンの水と滝をめぐる山歩道

木曽川の支流・付知川（つけちがわ）は別名・青川とも呼ばれる清流で、付知峡（つけちきょう）周辺は岐阜県立自然公園に制定されています。川床の花崗岩が透けて見えるエメラルドグリーンの美しい水は、岐阜県の名水50選にも選定された清流です。

不動滝・観音滝・仙樽（せんだる）の滝などをめぐる山歩道は歩きやすく整備されており、東屋も点在しています。吊橋の上から望む渓谷はまさに絶景。周辺は花の森としてコブシ・ヤマツツジ・ヤブツバキなども植栽されており、四季の花々を楽しむこともできます。

豊富な水量の滝飛沫にかかる虹を見るチャンスも

付知峡にある数々の滝は、渓谷沿いの断崖絶壁から豊富な水量で流れこみ、豪快な飛沫をあげて岩肌を落下します。このため、天気が良い日には滝に虹がかかることもしばしば。ただでさえ美しい水に、七色の虹が彩りを添える光景……もし出会うことができたらラッキーですね。

コースの歩行時間・歩行距離・アクセス

・歩行時間：40分
・歩行距離：987m
・上り：60m
・アクセス
車で：中央道・中津川インターチェンジより付知峡駐車場まで約50分
・コースを詳しく見る

【宇津江四十八滝】飛騨の秘境を流れ落ちる個性豊かな13の滝｜岐阜・高山

歩きやすい山歩道が整備された岐阜県立自然公園

神通川の上流部・宮川の支流・宇津江川の上部には、函滝（落差11.5m）・上段滝（落差10.1m）・王滝（落差18.8m）・銚子口滝（落差10.8m）、障泥滝（落差9.8m）など、13の滝が連続する渓谷があり、宇津江四十八滝と呼ばれています。

それぞれ趣を異にする滝と渓流に沿って、石畳などの遊歩道が整備されているほか、山麓には、「花の森　四十八滝山野草花園」があり、季節の花々も鑑賞できます。とりわけ5月末〜6月中旬に見頃を迎える約15万本のクリンソウ群落は圧巻です。

渓谷最上部からは北アルプスの山並も眺望！

渓谷最上部の四十八滝高原から振り返ると、これまでの水風景から一転して素晴らしい山岳パノラマが広がります。そびえているのは北アルプス最高峰・奥穂高岳（3,190m）をはじめとする穂高連峰や笠ヶ岳（2,898m）など名だたる山々。南へ目を転じると乗鞍岳（3,025m）も眺望できます。

コースの歩行時間・歩行距離・アクセス

・歩行時間：1時間10分
・歩行距離：1.7km
・上り：182m
・アクセス
車で：中部縦貫道・高山インターチェンジから宇津江四十八滝駐車場まで約20分
・コースを詳しく見る

「渓谷×山歩」で癒しと絶景を両どりしよう

生命の源でもある“水”を身近に感じることができる渓谷は、癒しにもリフレッシュにもぴったりの山歩スポットです。マイナスイオン豊富な清流と木々が放つ芳香、ダイナミックな景観を満喫しに、渓流×山歩に出かけましょう。

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トップ画像：noriさんの活動日記より
執筆・編集協力：鷲尾 太輔