登山を始めるきっかけで多いのが、「職場の仲間に誘われて」というパターン。仕事とプライベートを分けたいという人もいる一方、なぜ同僚たちと行くグループ登山が増えているのでしょうか。そこで、登山コミュニティをもつ企業の登山部員たちに、心身のリフレッシュだけではない、グループ登山の魅力を伺う「登山部インタビュー」連載をスタートしました。
第六回は、システム開発を手がける株式会社fusic(福岡)さんです。独自の社風『半期目標』をきっかけにはじまった社内登山はどんどんと広がりを見せ、世代を問わず、社員の家族なども巻き込みながら賑やかな活動を行っているそう。今回は登山経験者として社内登山をリードされている上口さんと、前任の政谷さんにお話を伺いました。
2025.01.16
YAMAP MAGAZINE 編集部
< 話を聞いた人 >
上口 由紀子さん:事業本部/技術開発部門・テストエンジニア(YAMAP-ID 478642)
自己紹介ページ ▶︎ https://fusic.co.jp/members/32
政谷 賢祐さん:事業本部/技術開発部・コアテックエンジニア
自己紹介ページ ▶︎ https://fusic.co.jp/members/51
【株式会社Fusic】
所在地:福岡県福岡市中央区天神4-1-7第3明星ビル6階
代表取締役社長:納富 貞嘉
Webサイト:https://fusic.co.jp/
福岡を拠点に、全国のクライアントが抱えるDXの課題に幅広い技術で解決に取り組むテクノロジーカンパニー。クラウドインフラ(AWS)の提供、システム開発、データ活用の技術コンサルティング、ディープラーニングや機械学習を使ったモデル作成に加え、自社プロダクトを提供するデジタルトランスフォーメーション事業を展開。2023年3月に、東京証券取引所グロース市場及び福岡証券取引所Q-Boardへ上場。
── 株式会社fusicが社内メンバーで登山をするようになったきっかけを教えてください。
上口さん:弊社では、評価制度とは別に半期に一度、仕事・プライベート何でもよいので1つ目標を立てる『半期目標』という社内文化があるんです。内容は仕事に関係なくても全然OKで、例えば【毎月一冊本を読む】とか【体重を◯kg落とす】、【フルマラソンを走破する】などと決めている人もいます。その半期目標を【年内に3つの山に登る】とした社員がいたんです。その目標を聞いて、社内の登山経験者や登山に興味のあった人たちが集まって、今に至っている感じですね。
政谷さん:最初は登山経験者だった僕に声がかかりまして、リーダーとして、福岡で人気の「宝満山(829m)」に登る山行を企画しました。ただ最近は、僕が育児に忙しくなってしまい、リーダーの役割を上口さんにお願いしている状況です。
── 現在はどのくらいの頻度で活動されていますか?
上口さん:頻度は特に定めてはいないのですが、去年まではシーズンに1回程度でした。 最近はやる気のあるメンバーが増えてきて、2ヶ月に1回くらいのペースで登山をしています。登山部が発足した当初に比べると企画頻度が上がってきていますね。
── 参加されるメンバーは固定されていますか?
政谷さん:あまり固定されてはいないです。計画した日に都合がつかないということも多々あるので、結構メンバーはバラバラです。
上口さん:社内のチャットツールのなかに「登山部チャンネル」を作っているので、社内で登山の話になったりするとそこへ招待していて、都合が合えば参加してくれるようなかたちで運用されてますね。勧誘などはしていませんが、社員100名程度のうち、3分の1ぐらいはこのチャンネルに加入してくれています。
政谷さん:他にも同じような「部活動チャンネル」はいくつかあるんですが、登山部はかなりアクティブに活動していますね。軽音部と登山部の二大勢力って感じじゃないかな(笑)
── Fusic登山部さんはどのような登山スタイルが多いですか?
政谷さん:これまでは日帰りの山行だけですね。初心者の方が多いのでハードな山は好まれないですし、親子で参加してくださる方やまだ小さいお子さんがいたりする方も多いので、日帰りで行ける低山が中心です。
上口さん:そもそも登山靴を持っている人もほとんどいなくて、自分が行ったことのある山から、スニーカーで登れるような山を選んで紹介しています。でも、特に最近登山靴を買いたいという人が増えてきて、こないだみんなで登山靴を買いに行きました!
── 山行計画はどのように立ち上がるのでしょうか。
政谷さん:最近は、登山部のチャンネルに上口さんがおすすめの山を投げてくれて、行きたい人が手を挙げるスタイルが多いよね。メンバーから「ここに行きたい!」という声が上がることは少ないかな。
上口さん:そうですね。みなさん初心者なので、そもそも山の名前なんてわからないんですよね。山を知っていないと「この山行きましょう」とはならないので、私から提案しています。伝えるのは、山頂からの景色やアクセス、所要時間など。このあたりの情報があるとみなさん判断がしやすいようです。
── 提案する山の条件などはありますか?
上口さん:片道1時間程度で、登山道の傾斜がゆるやかなところですかね。あとは危険箇所がないとか。これまで登った山だと、「十坊山(とんぼやま・535m)」は気に入ってくれたメンバーが多かったですね。山頂が開けていて、海がよく見えるんです。標高は高くないですが、晴れていれば絶景が楽しめますよ。
── そのほかに、初心者の方たちと山に行く上で気にかけていることなどはありますか?
上口さん:お子さんが一緒に参加してくれることが多いのですが、子どもは体力があるので速いペースでガツガツ登ってしまうんですよね。大人たちは日頃運動していないメンバーも多いから、ペースがバラバラになってしまうことはよくあって。そういうときは子どもたちは見えないところまで行かせないように声をかけたり、ペースダウンして調整したりとかは意識的にやっていますね。
政谷さん:経験者の人がいてくれると、やっぱり安心感がありますよね。
── 登山部チャンネルに参加しているメンバーは、もともと業務などで関わりのある人たちですか?
政谷さん:いえ、全然そんなことなくて、エンジニアはもちろん、営業やバックオフィスなどさまざまな職種の人が参加していて、一緒に山に登るまで接点がなかった方も多いです。
上口さん:登山部は、仕事上ではあまり関わりのない人たちとも接点を持てるのが嬉しいですね。一緒に山に登ったことがある人と、その後プロジェクトなどで一緒になる際は、やっぱりコミュニケーションが取りやすいなと感じます。
── 登山経験者のおふたりが考えるグループ登山の「良いところ」はなんですか?
上口さん:登山ってやっぱりしんどくて。登っている最中に、「なんでやってるんだろう…」って思うこともありますよね。でもこの「きつい」や「感動」の体験を共有できると、距離がグッと縮まるような気がするんです。それが人と山に登ることの魅力かなと思いますね。
政谷さん:現実的な要素でいうと「安全」という面もあると思います。私は以前、ソロ登山をした時に転んで怪我をしそうになったことがあって、それ以来ひとりでは登山に行かないようにしています(笑)。でもやっぱり、グループ登山の良いところは「コミュニケーション」かなあ。僕たちはエンジニアなので、体力がついても良いことがある職種ではないんですよね。
でも逆に言うと、登山にかかるのと同じくらいの時間、隣に座っていることはあっても、まるまる話したりすることはなくて。でも山に登れば、業務時間と同じくらいの時間を一緒に過ごすし、自然とコミュニケーションが生まれる。それがグループ登山の「良いところ」だと思いますね。
自然の中でリフレッシュできるだけじゃなく、仲間との結束力も深まる「登山」。同じ景色を見て、同じ達成感を味わうことで生まれる一体感は、心の距離を縮め、信頼や絆を育んでくれます。仲間との絆が深まることで、日々の仕事にも思わぬ変化が生まれるかもしれません。
「次の週末は、会社の仲間や友人と一緒に登山をしてみようかな?」
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