登山を始めるきっかけで多いのが、「職場の仲間に誘われて」というパターン。仕事とプライベートを分けたいという人もいる一方、なぜ同僚たちと行くグループ登山が増えているのでしょうか。そこで、登山コミュニティをもつ企業の登山部員たちに、心身のリフレッシュだけではない、グループ登山の魅力を伺う「登山部インタビュー」連載をスタートしました。
第十二回は、国内オンラインリサーチ業界のリーディングカンパニーである株式会社マクロミル(東京都)さんです。社内サークル活動(通称:ミルサー)の一環として、15年の歴史を持つ同社の登山部。年間を通じて日帰り登山や山小屋泊の活動を実施しており、メンバーの7割がこの登山部をきっかけに山登りを始められたのだそうです。本記事では、部長の赤堀さんと副部長の笠原さんに、登山部の活動を通じた社内コミュニケーションの促進や組織の活性化についてお話を伺いました。
2025.04.18
YAMAP MAGAZINE 編集部
話を聞いた人
赤堀さん:登山部部長(写真左)
マーケティング調査の実績を集計・分析するリサーチャー職を担当。
笠原さん:登山部副部長(写真右)
デジタルマーケティングに関する新規プロダクトの企画開発を担当。
【株式会社マクロミル】
マクロミルは、国内オンラインリサーチ業界のリーディングカンパニーです。市場シェアNo.1※の豊富なリサーチ実績とノウハウ、90以上の国と地域で1.3億人へのリサーチが可能なグローバルネットワーク、独自に構築した消費者パネルから得られる多種多様なデータを活用し、お客様のマーケティング課題の解決に向けて最適なソリューションを提供します。創業時から育んできたデータネイティブな発想で、お客様のビジネスに成功をもたらすData Culture構築の原動力となることを目指します。
※オンラインリサーチ市場シェア=当社単体及び(株)電通マクロミルインサイト、(株)H.M.マーケティングリサーチのオンラインリサーチに係る売上高(2023年6月期)÷一般社団 法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)によって推計された日本のMR業界市場規模・アドホック調査のうちインターネット調査分(2022年分)(出典:一般社団法人日本マー ケティング・リサーチ協会(JMRA)2023年6月27日付第48回経営業務実態調査
Webサイト:https://www.macromill.com/
── まず、登山部発足の経緯について教えてください。
赤堀さん:弊社には、「ミルサー」という社内サークルの取り組みがあります。そのひとつとして活動しているのが、私たちの「ミルサー登山部」です。発足は2010年頃で、ご家族に山小屋を経営されている社員などもおり、7名程で甲武信ヶ岳に登ったのがきっかけと聞いています。
笠原さん:赤堀さんは二代目部長でして、僕が副部長を務めています。現在約30名のメンバーが在籍しており、年間で2、3回の山行を計画しています。春には日帰り登山、秋には山小屋泊を実施するのが恒例ですね。
赤堀さん:ミルサー自体が社内交流を目的とした公式なサークル制度で、福利厚生の一環として会社から支援を受けることもできる仕組みです。登山部はその中でも特に歴史が長く、活動が活発なサークルのひとつですね。
これまでに実施してきた山行の時期と標高がグラフ状に表現された図
── 登山部以外にはどんなサークルがありますか?
赤堀さん:サーフィン、フットサル、ランニングなど、20以上の団体があります。
笠原さん:従業員の数も1,000人を超えていますので、部署をまたいで仲間の社員とコミュニケーションをとるためにもとても有難い取り組みです。サークル活動には社外の方やOB/OGも参加できるような仕組みになっていまして、社内外交流を通してのマクロミルのイメージ向上や意見交換の場としても活躍しています。
── 登山部のメンバーの構成はどのようになっていますか?
赤堀さん:20代から50代まで幅広い年齢層が在籍していて、男女比はほぼ半々です。もともとは女性の割合が多かったのですが、最近は男性メンバーも増えてきましたね。
笠原さん:発足当初は経験者が大半でしたが、今では2〜3割ほど。残りのメンバーは初心者や未経験者です。実際、登山部に入ったことがきっかけで登山を始めた人が7割くらいを占めています。
── 活動の計画はどのように立てていますか?
笠原さん:まず日程調整を行い、登る山を決めます。登山の難易度や安全面を考慮して、標高2000m以上で山小屋があり、初心者でも安心して参加できるルートを選ぶことが多いですね。重要なことは、活動時間を6〜7時間以内にすること、登山口周辺に広い駐車場があるかどうか、近くに温泉があるかどうか。山が決まったら、そのあとしおりを作成してメンバーに配るようにしています。
山行計画の際に作成している「しおり」。持ちものやスケジュール、注意事項などが細かく記載されている
赤堀さん:登山初心者が多いため、装備の相談に乗ったりすることもありますね。例えば、東京・神保町にある登山用品店に一緒に行き、どんな靴やウェアが適しているのかアドバイスしながら、一緒にギアを選んだりすることもありました。
笠原さん:登山中はペースごとに3〜4人のグループに分けることで、無理なく安全に登れるように工夫しています。経験者がサポート役となり、初心者でも安心して参加できるようにしています。
── ミルサー登山部で定番のルートや恒例行事などはありますか?
赤堀さん:登山後は必ず温泉に入るというのが伝統になっています。山小屋泊だとお風呂に入れないことが多いので、下山後に温泉でリフレッシュするのが定番ですね!
笠原さん:新卒社員が入社する春に「ウェルカム登山」と題して登山を計画するのですが、その開催地はいつも「高尾山(599m)」です。電車でアクセスできますし、駅前に温泉もありますし、初めての方にはやはりちょうどいいですよね。
赤堀さん:9〜10月くらいの秋口に小屋泊の山行をするのも定番になっています。場所は埼玉・長野・山梨あたりで、なるべくこれまで行ったことのない場所に行くようにしています。
── 部長・副部長として活動されるなかで、やりがいを感じる瞬間はありますか?
赤堀さん:参加してくれたメンバー同士が仲良くなってくれるのが個人的にはとても嬉しいですね。関係性の架け橋になれたような気がします。個人の趣味としてアウトドアを始めるきっかけになった!と言ってくれたメンバーもいました。こういったメンバーの自然な変化を知った時には、やりがいを感じます。
笠原さん:「ミルサー」は部署間の交流や社員の心身の健康を目的に発足した取り組みなので、それが叶ったと思うときはやはり嬉しいですね。山行の際にメンバーの口から出る、「景色きれい!」「雲が下に見えますね!」といった純粋な感想も、僕はとても嬉しかったりしています。
── 登山部の活動が、仕事に活きていると感じることはありますか?
赤堀さん:社内の普段関わらない部署の人と登山を通じて知り合うことで、仕事のやりとりがスムーズになることが多いですね。例えば、異動したばかりの部署で自己紹介する際に『登山部の部長をしています』と言うと、それだけで会話のきっかけになり、すぐに打ち解けることができます。
笠原さん:私は自分が所属する部署の後輩にも声をかけていて、一緒に山登りをしています。やっぱり山の中で、さまざまな状況を共に経験するから、自然と気を使わないでいい良好な関係を作れているような気がします。登山している時はみんな平等ですからね。
赤堀さん:山を登っている最中って、仕事の話ももちろんしますけど、1分で忘れるような話もしますよね(笑)登山が目的だからこそ、いろんな話が気兼ねなくできる環境になるっていう副次的な効果があるような気がします。
── 最後に、おふたりがなぜリーダー職を務めるのか、理由を教えてください。
笠原さん:登山が、私自身にとって必要なものだからだと思いますね。自然の中で心身をリフレッシュする時間は何にも変え難いですし、せっかくならみんなにも楽しんでもらいたい!という気持ちが強いです。
赤堀さん:私は部署の先輩に誘われて、ミルサー登山部に入りました。会社の中での人間関係を築いていくうえで登山部は貴重な存在でしたし、今でも、この機会じゃないと話せない人に会いに行っているような感覚があります。そんな想いで毎年欠かさず参加していたら、あれよあれよと部長になってしまいました(笑)。でも、この関わりを大切にしていきたいです。
自然の中でリフレッシュできるだけじゃなく、仲間との結束力も深まる「登山」。同じ景色を見て、同じ達成感を味わうことで生まれる一体感は、心の距離を縮め、信頼や絆を育んでくれます。仲間との絆が深まることで、日々の仕事にも思わぬ変化が生まれるかもしれません。
「次の週末は、会社の仲間や友人と一緒に登山をしてみようかな?」
そう思った方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。