過去1年間で登山者が2倍になった話題の島「佐渡島」の魅力に迫る

登山者の皆さんが挑戦したいと思っている登山スタイルを明らかにするため、2021年にYAMAPが実施したアンケート。その中で最も票を集めた回答はなんと「離島登山」でした。実際に新潟県にある「佐渡島」では、2022年に登山を目的とした来島者が2倍以上に増えたとのこと。「離島登山」は今、静かなブームとなりつつあるのです。

そこでYAMAPでは、佐渡島を訪れた経験のあるユーザーのみなさんと一緒に「佐渡島・離島登山の魅力」を徹底解剖。今回はその内容をお届けします。

2023.02.22

池田 菜津美

ライター

INDEX

どうして佐渡に?みんなの目的とは

—今回は佐渡マニアの4名をお招きしてますが、まずはみなさんの「佐渡歴」から伺いたいと思います。

uapapaさん:わたしは2021年と2022年の2回、佐渡へ行きました。どちらの年もYAMAPの「デジタルバッジキャンペーン」につられて。佐渡の山や観光地を巡ると、佐渡にまつわる絵柄のデジタルバッジがもらえたんです。でも今年はキャンペーンの有無に関わらず、佐渡に行こうと思ってるところです。

—おぉ! デジタルバッジを求めてではなく、佐渡の魅力に引き込まれて…ということですか?

uapapaさん:そうですね。きっかけはデジタルバッジキャンペーンでしたが、2回の訪問で、今ではすっかり佐渡にはまってしまいました。

ベイさん
:私は新潟市在住で、佐渡に通うようになったのはここ数年。佐渡のマラソン大会に参加したり、山歩きを楽しんだりしています。

晴夏さん:私はYAMAP MAGAZINEの記事を読んで「行ってみたい!」と憧れて、2022年の夏に初めて佐渡を訪れました。今はUapapaさんと同じで、「また行きたい!」と密かに佐渡訪問を計画中です。神奈川県に住んでいるので少し遠いのですが、それでも行きたい!

旅人Y氏さん:佐渡には3回行っているのですが、どれも目的が違って。初回はバイクのツーリングで、2回目は釣りのために。3回目となる2022年に初めて山に登りました。

左上から時計回りに、ベイさん、晴夏さん、旅人Y氏さん、Uapapaさん

佐渡の山はココが素敵!行って分かった溢れる魅力

—旅人Y氏さんは「佐渡の山に登ったのは昨年が初めて」とのことですが、いかがでしたか?

旅人Y氏さん:佐渡の中でも気軽に歩けて人気の登山ルート、尻立山(940m)からドンデン高原ロッジの間を歩いたのですが、山の上からの景色がとにかくすばらしくて。

私が住んでいる栃木県には海がないので、山から海を見渡せることに感動しました。開放感があって、本当にすてきな景色でした。予定では、そのあと佐渡最高峰の金北山(1,172m)まで縦走する予定だったのですが、この日は風が強すぎて断念。

眼下に臨む両津港、金北山への山行中は稜線の両側に海が広がる/旅人Y氏さんの日記より

晴夏さん:実はわたしも山行の天気があまりよくなくて。ドンデン高原ロッジから金北山まで歩いて往復したのですが、ガスで景色が見えず…。

でも、YAMAP MAGAZINEの記事でいろいろ情報を得ていたので、緑色の石があるのを発見して「きれい! これがグリーンタフっていう石かな?」とか、雲の間から港が少しだけ見えて「きれいな海が広がってるんだろうな〜」とか、快晴でなくとも十分楽しめました。

左:溶岩や火砕流が変質した「グリーンタフ」、右:霧に包まれて神秘的だったあやめ池/晴夏さんの日記より

晴夏さん:それに、短いコースの中にもいろいろな景色が詰まってるなぁと思って。広々とした稜線に、樹林や岩場、池もあるし。変化に富んだ道でおもしろいなぁと。でも、この日は天気の都合で期待していたような景色には出会えず、ほとんどがYAMAPの記事から想像して「心の目」で見ることに…。是非とも実際に見てみたい!

とくに、ドンデン高原ロッジと金北山の中間にある「真砂の峰」! 開けた草地で、眼下には海も見えて、きれいなんだろうなぁって。

―晴夏さんの「また行きたい!」のはリベンジの意味もあったんですね。

晴夏さん:そうなんです!

旅人Y氏さん:私も強風で断念したので、是非リベンジしたいと思ってます。実は去年の山行は当時つき合っていた彼女と一緒に歩いたのですが、今年結婚しまして。今度は夫婦として再チャレンジしたいなと。

晴夏さん:え〜っ、すごい偶然! 私も当時つき合っていた彼と佐渡に行って、今年、その彼と結婚したんです。佐渡が「縁結びの島」みたいになってますね!(笑)

—新潟市在住のベイさんはどんな風に佐渡の山を楽しんでいますか?

ベイさん:基本的には日帰りが多いですね。1週間前に天気予報をチェックしてレンタカーを予約。6時のフェリーで向かえば、8時半には佐渡島の玄関口である両津港について、車で30分でドンデン高原ロッジへ。山荘から少し歩くとドンデン池があるのですが、赤い屋根の避難小屋が立っててすてきな場所なんです。

ドンデン池の近くにある避難小屋と紅葉/ベイさんの日記より

ベイさん:港から車で30分で、こんな場所にたどりつけるなんてって、いつも思うんですよね。午前中はそうやって山の中を歩いて、午後はレンタカーでおいしいお店巡り…という感じです。

旅人Y氏さん:いいなぁ。うらやましいです!

ベイさん:特におすすめしたいのは紅葉の時期。ドンデン高原ロッジの裏側(北東側)へ下りる道が特にきれいで、何度も通っています。

ベイさんがおすすめするドンデン高原ロッジの北東側の紅葉/ベイさんの日記より

ベイさん:島の南部にある小佐渡エリアの紅葉山もおすすめ。その名のとおり、見事な紅葉です。平地からすぐのところに、紅葉で有名な鳥海山(山形県)にも劣らない景色が広がっていて。佐渡ってすごい場所だなぁって思ってます。

旅人Y氏さん:佐渡といえばドンデン山(934m)が花の百名山にも選ばれていて、カンゾウとか春先のお花のイメージでしたけど、紅葉もすごいんですね。秋も行ってみたいです。

ベイさん:たしかに紅葉の時期は人が少ないですね。静かな山行が楽しめますよ。でも、秋にはひとつだけ難点があって。春はドンデン高原ロッジと、金北山の先にある「白雲台」と、それぞれにアクセスできるバス便があるんです。でも秋はどちらもバス便がなくて。わたしはレンタカーを使っていますが、縦走するのが難しいんです。

―そんなみなさまに朗報です! 両津港とドンデン高原ロッジや白雲台を結ぶ、予約制の乗合タクシー「リンクライン」が運行中。運行期間は4月下旬から10月の末まで。秋の紅葉の時期まで利用できますので、ぜひチェックしてみてください。

―ちなみにUapapaさんは、どんな季節に佐渡へ訪れたのですか?

uapapaさん:じつはわたしもベイさんに同じく、夏ではなく10月末に歩いてるんです。2回佐渡に行って2回とも。

YAMAPのデジタルバッジキャンペーンの終わり頃に、滑り込みで行ったのが最初でした。でも、そのとき見た風景が強烈に印象に残っていて。さっきも話に出ていた「真砂の峰」からの景観です。

北東側の斜面は冬の季節風で樹木が育たず、砂とわずかな草原広がっていて独特の雰囲気があるんです。この雰囲気を味わいたくて、2年続けて佐渡を訪れたと言っていいくらい。

左のピークが真砂の峰/Uapapaさんの日記より

晴夏さん:やっぱり「真砂の峰」はいいところなんですね。心の目だけじゃなくて、実際に見てみたい!

uapapaさん:秋はススキの草原も美しいですよ。ドンデン池の先に広がっていて、この草原に出会ったときは感動しました。紅葉ももちろんきれい。わたしはドンデン高原ロッジから北東側に抜ける林道をドライブしたのですが、両津港がある南西側よりも紅葉が美しい気がしました。

ドンデン池の先のススキの野原/Uapapaさんの日記より

―みなさん、それぞれのスタイルで佐渡の山を楽しんでらっしゃいますね!

旅人Y氏さん:わたしは昨年の佐渡旅行、4泊5日で観光も満喫しました。まずは、どうしても見たかった大野亀のカンゾウ。あたり一面が真っ黄色で、圧巻の景色でしたね。

思いの外よかったのが、二ツ亀。大野亀から歩いて行ける距離にあるのに、だ〜れもいなくて。すばらしい景色を独り占め。

標高167mの一枚岩が海に突き出している大野亀とトビシマカンゾウのお花畑/旅人Y氏さんの日記より

旅人Y氏さん:トキの森公園も回りましたよ。「トキってこんな顔しているんだ!」「ドジョウ食べてる!」って、間近に見られたのでうれしかったです。

旅行中に出会った野生のトキ/ベイさんの日記より

ベイさん:島内では野生のトキも見られますよ。小佐渡のあたりでは遭遇率が高い気が…。佐渡の観光といえば、佐渡金山や砂金取りを思い浮かべる人も多いかもしれないですけれど、先ほどから話に挙がっている紅葉やトキなど、佐渡の自然もぜひ味わってほしいですね。

uapapaさん:そうですよね。佐渡は星空も美しいですよ。私は写真が好きなので、きれいな天の川が撮れて最高でしたね。撮影スポットでおすすめなのは長手岬。入り江に沈む夕日がきれいだったなぁ。北沢浮遊選鉱場もよかったですね。ライトアップが幻想的で、動画も撮影しました。

長手岬で見上げた星空、天の川までくっきり見えたそう/uapapaさんの活動日記より

晴夏さん:わたしは古い建物が好きなので、小佐渡の宿根木集落をぶらぶらしました。郷愁を誘う町並みで、とってもすてきでした。

宿根木集落の小道/晴夏さんの日記より

佐渡マニアが伝授する佐渡満喫のヒント

―「島旅」と聞くと少しハードルに感じられるアクセスや島内での移動手段。みなさんはの移動手段は何を使っていましたか?

旅人Y氏さん:路線バスを駆使して、島内を巡りました。路線によっては結構本数があって、便利に使えましたね。フリーパスがあるので、かなりお得だったと思います。連泊にはぴったりでした。

ベイさん:わたしはレンタカーを使いました。日帰りだと時間があまりないので、行きたいところへピンポイントで向かう際に便利です。レンタカーは割とすぐに予約が埋まってしまうので、1週間くらい前にチェックしておくと安心ですね。

uapapaさん:わたしは地元の福島県からフェリーを使ってマイカーで入りました。大佐渡の林道は細くてカーブも多いのですが、軽自動車であれば運転しやすかったです。

―公共交通機関でも巡れるのは嬉しい情報です!いずれにせよ、早めのリサーチが肝心そう…。ちなみに、佐渡のおすすめグルメ情報はありますか?

旅人Y氏さん:長浜荘という民宿に泊まったのですが、ごはんの量がすごかった! 「こんなに出るの?!」って。新鮮なお刺身やおいしい魚料理がとにかくいっぱいで。以前、イカ釣りで佐渡に来たときは車中泊だったので、振り返ってみると本当にもったいないことをしたなと。

uapapaさん:わたしも佐渡訪問の1回目はドンデン高原ロッジのテント場に泊まり、コンビニ弁当でやり過ごしてしまい…。反省を活かして、2回目はグルメを満喫しましたよ! わたしも長浜荘の噂を聞いていたので、ランチでうかがいました。期待どおり、モリモリの海鮮丼でした。

長浜荘のランチの海鮮丼(上)/Uapapaさんの日記より

ベイさん:佐渡に住んでる人は気づいてないかもしれないけれど…、佐渡で出てくる食べものは豪華過ぎるんです(笑)。 夕飯で、1人につきカニが1杯って、なかなか贅沢ですよね。

私の場合、日帰りでも1泊2日でもグルメ巡りは必須です。両津港の「mikawa」のスイーツとか、小佐渡の羽茂大崎の山中にある「タガヤス堂」のドーナツとか。カフェやパン屋など、おしゃれなお店が結構あるんですよね。

晴夏さん:そうですよね。「いっぱい食べるぞ〜!」って張り切って乗り込んで、いろいろなお店を回りました。

おすすめは「莚CACAO CLUB」さん。チョコレートをつくっているお店で、小佐渡の赤泊にあります。集会場を改装しているのですが、店内も料理も映えがすごくて! お土産にチョコレートを買って大満足でした。ほかにも行きたいカフェがあったのですが……1泊2日では全然回り切れない!

莚 CACAO CLUBのプラムジャムとチョコレートムース/晴夏さんの日記より

ー佐渡でしか味わえない味覚がたくさん…! 登山後の楽しみにもってこいですね。

今年は「佐渡」で島旅デビューしよう

—ここまで佐渡の魅力をたっぷり語っていただきました。これから「島旅」デビューする(もしくは、「佐渡を訪れる」)YAMAPユーザーに向けて、最後に一言お願いします!

旅人Y氏さん:佐渡は通えば通うほど、見たいもの、食べたいもの、体験したいことが増えていく場所です。わたしは1回目はバイクのツーリング、2回目は釣り、3回目は山登りと、目的を変えて佐渡を訪れたのですが、そのたびに新しい楽しみが見つかって。今ではすっかり佐渡にハマってしまいました!

ベイさん:今回みなさんと話してみてわたしも感じたのが、「佐渡は1回行くと、みごとにはまる!」ということ。でもなかなか1回目のハードルが高かったりする。だからこそ、YAMAPさんで初心者向けの記事をつくってほしいなぁと。アクセス情報や登山情報をまとめるだけでも、初めての人はトライしやすくなるのではないかな。

旅人Y氏さん:たしかに。バスで巡りたい人はこのプランを、1泊2日の人はこんなプランでと、初心者向けの計画の提案もぜひ!

uapapaさん:佐渡は山も観光もグルメもよいのですが、佐渡の人たちの温かさにも感激しました。 星空を撮影しているときに、地元の人からたくさん声をかけてもらって。しかもみなさん「楽しんでね」という感じで、本当に暖かい会話なんです。

晴夏さん:そうなんですよね。お店の人も、宿の人も、みなさんやさしくて。しかも、「あそこのお店がおいしいよ!」「ここはいいところだよ!」って、地元の人しか知らないような情報を教えてくれるんです。そうすると1泊2日では時間が足りなくて…やっぱり今年もまた、佐渡へ遊びに行きたいです!

編集部より、これから佐渡を訪れる方へ

一度訪れるとまた何度でも来たくなる魅惑の島、佐渡。今回「佐渡マニア」4名が語り尽くせなかった魅力を探しに、みなさんもぜひ佐渡へ足を運んでみてくださいね。

今回、ご協力いただいた「佐渡マニア」のみなさんの活動日記はこちら!佐渡の島旅のご参考にぜひチェックしてみてください!

▼uapapaさんの活動日記:YAMAP佐渡の島旅キャンペーン満喫😆〜マトネ・真砂の峰・金北山・論天山・芝尻山・和木山・尻立山

▼ベイさんの活動日記:佐渡ドンデン山。美味しいものたくさんの旅、ときどきトキ。

▼晴夏さんの活動日記:【佐渡旅】金北縦走路とぷち佐渡観光🎶

▼旅人Y氏さんの活動日記:【ぼくらの島旅2022】3日目 絶景カンゾウを巡る旅編

原稿:池田菜津美
協力:佐渡市観光振興課
TOP画像提供:wataRuさんの活動日記より

池田 菜津美

ライター

池田 菜津美

ライター

子供向けの自然科学の本や、図鑑の編集などを行う。子供の頃から外遊びが好きで、山菜採りや野鳥観察、雑草探しに興じていた。現在は自宅裏の神社で鳥&昆虫を愛でるのを日課とし、近所の自然公園へぶらりと植物探しに出かけることも。今も昔も相変わらず、生き物の暮らしや生態に感心しながら、それとのふれあいを楽しんでいる。著書に『飼育員さん教えて!みんなどきどき動物園』『飼育員さん教えて!みんなわくわく水族館』(新 ...(続きを読む

子供向けの自然科学の本や、図鑑の編集などを行う。子供の頃から外遊びが好きで、山菜採りや野鳥観察、雑草探しに興じていた。現在は自宅裏の神社で鳥&昆虫を愛でるのを日課とし、近所の自然公園へぶらりと植物探しに出かけることも。今も昔も相変わらず、生き物の暮らしや生態に感心しながら、それとのふれあいを楽しんでいる。著書に『飼育員さん教えて!みんなどきどき動物園』『飼育員さん教えて!みんなわくわく水族館』(新日本出版社)、『ときめくヤマノボリ図鑑』(山と溪谷社)など。