さまざまな山で、「なぜ山に登るのか?」をインタビューする『やまポトレ』連載。今回は、年間登山者数が300万人とも言われる「日本一」の山・高尾山(599m)へ。都心からのアクセスのよさに加え、都内とは思えない豊かな自然が残る山には、老若男女、そしてトレイルランナーや縦走登山者、さらには外国人ハイカーまで、多様性あふれる人びとが集います。そんな、身近だけど奥が深い山・高尾山で、今回も素敵な出会いがたくさんありました。
2023.06.21
YAMAP MAGAZINE 編集部
なんと、この山行前日に入籍したという「はやとさん」と「りこさん」カップル。北海道で出会ったふたりは、登山を通じて縁を深めていったのだとか。北海道という土地柄、富良野岳(1,911m)や、知床の羅臼岳(1,661m)や斜里岳(1,547m)、トムラウシ(2,141m)などを一緒に登りに行ったのだそう。なんとも羨ましい山歴の持ち主でした。
はやとさんの山に登る理由はズバリ「美味しいご飯と景色」。2年前に東京に移り住んでからは、日本アルプス登山にも出かけるなど、本格的な山歩きを楽しんでいるとのこと。高山ならではの絶景と山で食べるご飯が登山の原動力となっていると話してくれました。
「実は、プロポーズをしたのは奥穂高岳(3,190m)に一緒に登ったときなんです。ふたりとも山が好きなので、山で言葉を伝えたかったんです」と、はやとさん。登ってみたい山は、まだまだたくさん。今年は剱岳(2,999m)に挑戦したいのだとか。
お気に入りのアイテムはトレッキングポール。長距離のハイクや荷物の重い縦走登山では欠かせない山道具のひとつ。
山ポトレ vol.15|はやとさん
年代:20代
職業:会社員
高校はサッカー、大学ではセパタクローとスポーツに打ち込む。
北海道ではいろんな山に挑戦してきたりこさん。1年前に東京に移り住み、去年は立山(3,015m)と奥穂高岳へ。5月6日のインタビュー前日入籍したばかりというふたりですが、5月5日のゾロ目の日を狙ったのは、「お互い忘れないように(笑)」という、なんとも微笑ましい理由でした。
「高尾山にこようと思ったのは、こんなに有名な山なのに実はまだ登ったことがなかったからなんです。ちょうどGWだったので、人気の山は混んでいると思って、小仏峠の方からのんびり歩いてきました。下山後はやっぱり温泉に入ってから帰ります!」
山ポトレ vol.16|りこさん
年代:20代
職業:医療関係
今年は剱岳に挑戦したいけれど、ちょっと体力が心配。がんばってついていきます!
大学院でデザインを勉強しているという中国人留学生3人グループ。以前、学校の先生に連れてきてもらったのをキッカケに、山を登るようになったのだそう。日本に来たばかりという友達と一緒に、新緑の高尾山を楽しんでいました。
大学院の博士課程でデザインを専攻しているという、チョウガンさん。中国では学校の先生をしていて、さらなるスキルアップを目指して日本に来たのだそう。よく行くのは奥多摩や山梨の山。日帰りで行ける関東の山を中心に、仲間と休日のリフレッシュを楽しんでいると教えてくれました。
「去年は富士山(3,776m)に登りました。風が強かったので過酷なシーンもありましたが、日本一標高が高い山なだけあり、素晴らしい絶景を見ることができました。卒業後は中国に戻るので、日本にいるうちにいろんな山に登りたいですね」
お気に入りのアイテムは富士フイルムのミラーレスデジタルカメラ。山を登るときはいつも持っているそうで、景色や仲間を被写体に、写真も楽しんでいるのだとか。
山ポトレ vol.17|チョウガンさん
年代:30代
職業:大学院生
グラフィックデザインを専攻。2017年から日本在住。
テイシンさんも、同じく大学院生。日本に来てから登山をするようになったのだとか。昨年登った富士山は「もう二度と行きたくない!(笑)」というほど辛かったそうですが、振り返ってみれば「結構楽しかった」と、素敵な体験になったよう。
「登山はストレス解消のため。大学院生活は苦しいときもあって、ストレスが溜まってしまうんですよね。そんなときに登山をすると、とてもリフレッシュできます。また来週も頑張ろう!という気持ちになれるんです」
テイシンさんは「オールブラック」のコーディネート。頻繁に山に行くようになり、装備も一式本格的なものを揃えたのだそう。今年の山行の計画はまだこれからとのことですが、乾徳山(2,031m)に登ってみたいと話してくれました。
山ポトレ vol.18|テイシンさん
年代:30代
職業:大学院生
グラフィックデザインを専攻。初めて登った山は高尾山。今回は日本に来たばかりの同郷の友人の登山デビューをサポート。
今回が初登山(!)という、オウゲイヒさん。日本に来たのは今年の4月で、大学生活ははじまったばかり。コミュニケーションに四苦八苦しながらも、日本での生活を楽しんでいるのだそう。
「登山口から6号路で登ってきました。森の緑がきれいで、川もあって癒されました。ふたりがよく登山に行くのを見て気になっていたので、今回は誘ってもらいました。今日はまだまだ歩くみたいなので、ひとまず付いて行くのを目標に楽しみたいと思います(笑)」
山ポトレ vol.19|オウゲイヒさん
年代:20代
職業:大学院生
はじめての登山で高尾山へ。運動好きで、ジムに通っている。
元気いっぱいの子どもふたりを連れ、ランニングパンツを履いてトレイルを駆け巡っていたホシンさん。その格好からもわかるように、トレイルランニングがライフワーク。取材日はゴールデンウィークということで、友人のご家族と一緒に登山に来たのだとか。
ホシンさんが山に登る理由は「初100miles!」。今年はついに、トレイルランニングのレースのなかでも長距離カテゴリーの「100マイル=160km」にエントリー。完走を目指してトレーニングをしているのだそう。
「トレイルランニングをはじめて、5年くらいですね。去年は信越五岳トレイルランニングレースの110kmの部門に出走してギリギリ完走。さらなるレベルアップを目指しています。なかなかトレイルを走りに山に行けないので、都内の坂を見つけて何往復も駆け上っています」
山ポトレ vol.19|ホシンさん
年代:40代
職業:会社員
ロードのランニングからトレイルランニングへ転身。以前は100kmマラソンを旅行と兼ねて楽しんでいたのだそう。「きつい山が好き!」
今回の取材では、国内の方をはじめ、海外からの旅行者の姿もたくさん見かけました。いまや高尾山は、海外の方からも「都心からアクセスしやすい身近な山」として、広く認知されているようです。ちなみに取材を行ったのはGW終盤。過ごしやすい気候と新緑の美しさに、編集部も山の魅力を味わいながらのインタビューとなりました。後編に続きます。